国際収支
貿易収支は黒字が続き、海外での稼ぎのリターンも増えて所得収支が黒字になる。資本収支は借金の返済を終え、海外からの対内投資と海外への対外投資の多寡によって赤字にも黒字にもなる。
最近の日本はこの段階で、資本収支は赤字だが、経常収支の黒字が補って余りあったため、07年までは国際収支はずっと黒字基調だった。
経済財政諮問会議が05年に出した長期ビジョンでは、今後、日本は、エネルギー、食料価格の高騰や国内景気拡大による輸入増大で、貿易収支は赤字基調となるが、所得収支や資本収支の黒字で、国際収支は黒字が続き、『成熟した債権国』として投資立国で発展することになっている。
しかし、昨年日本は、貿易収支が早くも赤字基調に近くなり、所得収支は黒字だが、対内投資が増えて黒字傾向になるはずの資本収支は、逆に低金利と円高、および世界金融危機による海外の流動性不足による資本流出で大幅な赤字。 とうとう国際収支は赤字になってしまった。
資本収支は、85年以降、円高や低金利のとき赤字になっているが、昨年のように巨額でなく、しかも経常収支でカバーしきれる範囲だった。
しかし、貿易もしばらくは回復しそうにないとなると、国際収支の赤字が定着してしまいそうであり、投資立国も幻想になりそうだ。
残るは対外投資をうんと増やして、その果実をリターンさせる所得収支大国、すなわち『平成の出稼ぎ大国』として生きるしか道はないのか。