差し歯

朝食後に右うえの大きいほうの差し歯が外れたので、近所のN歯科に予約をとって、極寒の中を行き、午後3時に復元して貰った。今日1回で済むという。







俵 萌子「癌(乳がん)と私の共同生活:平成9年刊行」を読み終わる。以下の文章が印象に残った。

終章で、60歳以下の人の残酷だ。それに比べると、60歳以降の癌は、かなり事情が番ってくる。子育てはほとんどの場合終わっている。思い残すことがあるとすれば、もう少し遊んでから死にたかったなどである。 ”天寿癌”といわれる80歳過ぎの癌になれば、ほとんど思いい残すことはないのがふつうだろう。

浅尾慶一郎・参院議員の悩み

私が住む神奈川4区の民主党公認候補について、誰を投票するか悩んでいたが、大変参考になるブログ「励まし 国会傍聴記by下町の太陽 宮崎信行」に出会った。以下に全文をコピーする。浅尾氏は民主党を除名され、無所属で立候補することになったが、私は彼に1票を入れる積もりである。


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政権交代をかけた選挙を迎え、私も大変なストレスを日々感じております。ですから、思うことはドンドン書いて出していかないといけないと思うのです。

 民主党ネクス防衛大臣浅尾慶一郎参院議員(神奈川)が24日午後3時、民主党の公認候補が決まっている神奈川4区への院替え出馬を発表し、民主党に離党届を提出しました。

 これに先立つ午後1時からの記者会見で岡田幹事長は、記者の質問に対し「参院議員の身分に関することだから軽々に答えられない」としたうえで、「浅尾さんが午後3時から記者会見をする」ことを把握していることを明らかにし、内ポケットから日程表を取り出し、午後4時半からの「岡田・埼玉遊説」の日程を知らせたうえで、その前の時間にぶら下がりインタビューに応じることを示唆する発言をしました。

 この時点で、対応は決まっていたようです。

 解散に関する一連の記事のひとつ、岡田幹事長が3点の事務連絡 両院議員総会のエントリーで書いたように、解散に伴い総選挙(8月30日)までは党の役員会と常任幹事会を開かず代表・幹事長に一任することが了承されていました。いわば“戦時体制”“戒厳令”を確認したわけです。なので、“常幹マター”であるこの件も、鳩山代表と岡田幹事長の決済で、離党届を突き返し、速やかにきょう付で除籍処分となりました。

 岡田幹事長名のコメント(PDFファイル)では、浅尾さんは「再三の説得にも応じず、身勝手な理由でわが党の公認候補予定者に対抗して立候補しようとしていることは、国民の期待を裏切る背信行為であり、党の倫理規範に反する許し難い反党行為である」「本日付で除籍処分とする」としました。政権交代をかけた戦いの最中の許されない反党行為であり、処分は当然ですし、党規約の解釈にかなっています。

 岡田さん厳しいですね〜。しかし、最後の一文に岡田さんの合理的厳しさと優しさ、そして政治的な柔軟性が内在していると思います。

 「なお、本処分は、解散後の常任幹事会決定事項が代表、幹事長に一任されていることにもとづく決定であり、倫理委員会への諮問については、党倫理規則第6条にもとづき、総選挙後に行うこととする」

 「総選挙後に諮問する」ということは、浅尾さんが無所属で神奈川4区を勝ち抜いた場合は、その後の倫理委員会の決定で「7月24日付除籍」が覆る可能性が残っているということだと思います。

 私はこのことに触れているのは、理論や理屈ではなく、自分の心情が初めにあることを正直に吐露します。

 このブログの左側に並んでいる海自のインド洋派遣&防衛利権(65)というリンクをクリックしていただくと、浅尾さんが登場する国会傍聴記が何本も出てきます。私は「守屋問題」など参院外交防衛委員会の論争にかなりの情熱を注ぎました。浅尾質問は私にとって大きな楽しみでした。

 私は1998年秋〜2002年春まで、日経新聞横浜支局記者をしていて、東京政治部出身ですので、日経社内であまり馴染みがない国政に関する記事は、ほとんど私が書いていました。

 参院議員・浅尾慶一郎誕生には複雑な経緯があります。地域事情に関することなので、不明確な点があればご指摘くださるか、お許しいただきたく存じます。浅尾慶一郎さんは国政初挑戦の衆院選落選後、1998年夏の参院選で神奈川選挙区(定数3)で初当選しました。

 連合神奈川は「日産自動車関東自動車工業など自動車総連」をはじめとした同盟系労組が、総評系労組よりも強い傾向が他県に比べてあります。新進党としてのぞんだ1995年の参院選創価学会出身の松あきらさんが旧民社党(同盟系労組)の応援も得て当選しました。この見返りとして、1998年の参院選では創価学会は候補者擁立を見送り、民主党公認の浅尾慶一郎さんを支援しています。これにより、総評系労組の応援を得た社会党出身の千葉景子さんとあわせて民主党公認2人を当選させることができました。

 で、私が横浜に移った後、1999年に公明党は自公連立に入ります。連合神奈川幹部や県議と話す時にいわゆる“公民協力”のバーターについて聞いてみたら、「松さんを応援して、浅尾さんを応援してもらったから、これで終わりだ」と淡々としていました。

 神奈川県民の45%は横浜市民です。県内において横浜市人口重心、交通、経済、行政など圧倒的な存在です。全県区選出の参院議員は千葉景子さんのように横浜市に事務所を置くのが当然だと思っていましたが、浅尾さんはずっと鎌倉市に事務所を設けていたようです。衆院神奈川4区への院替え出馬はずっと頭にあったのでしょう。

 神奈川4区に関して言えば、これは地元の方が判断すべきですが、民主党公認候補予定者の政治家としての器に関してはいささか疑念があります。私自身は当時市長だった彼と直接の面識はありませんが、湘南地域担当を兼ねる先輩記者から本人の話、経済界の話を聞いていました。絶対的な評価、相対的な評価とも私の中では浅尾さんに軍配が上がります。

 とはいえ、歴史的な政権交代をかけた選挙で、しかも解散後です。人口800万人を超える神奈川選挙区が補欠選挙になるデメリットもあります。除籍はしごく当然です。

 でも、浅尾さんが神奈川4区で勝ち上がれば、その後に党倫理委員会への諮問が残っているのですから、芽は残っているのです。岡田幹事長は当然、このことは気付いていると思います。岡田さんの合理性はいつも厳しさと優しさが裏合わせになっています。権利と義務が表裏一体であるように。

 すべては神奈川4区の主権者が決めることですので、私はなるべく口出ししたくありませんが、自民党現職もあまり強いとは思えず、小選挙区でも、浅尾さんには3つどもえの勝機はあると思います。

 自民党新自由クラブなど細胞分裂を繰り返しながら党勢を拡大しました。民主党もいずれ党員・サポーターが多い選挙区では予備選を実施するようになればいいと思いますが、現時点ではそこまでの余裕はなく、まずは国民全体に「政権交代」を問うて闘うことに全総力を掲げなければなりません。

 総選挙(8月30日)までは“戦時”だということですが、当選すれば8月31日以降、主権者から代議士に指名されたという執行部に対する権力が出てきます。苦しくても小選挙区で通れば、執行部からのストレス・プレッシャーは今より軽くなるはずです。

 私はここまで書いたら、だいぶ心が軽くなりました。あくまでも私見であることをご配慮ください。

高齢者社会と麻生発言

表題のテーマについて、今日のブログ「知られざる真実」で植草一秀氏が、実に巧みなコメントをしておられた。忘れないように、以下にそのままコピーすることにした。

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麻生首相が7月25日に、横浜で開かれた日本青年会議所の講演で次のように述べた。時事通信が伝える高齢者に関する発言の要旨を以下に転載する。


「どう考えても日本は高齢者、いわゆる65歳以上の人たちが元気だ。全人口の約20%が65歳以上、その65歳以上の人たちは元気に働ける。いわゆる介護を必要としない人たちは実に8割を超えている。8割は元気なんだ。


その元気な高齢者をいかに使うか。この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。働くということに絶対の能力はある。80(歳)過ぎて遊びを覚えても遅い。遊びを覚えるなら「青年会議所の間」くらいだ。そのころから訓練しておかないと、60過ぎて80過ぎて手習いなんて遅い。


だから、働ける才能をもっと使って、その人たちが働けるようになれば納税者になる。税金を受け取る方ではない、納税者になる。日本の社会保障はまったく変わったものになる。どうしてそういう発想にならないのか。暗く貧しい高齢化社会は違う。明るい高齢化社会、活力ある高齢化社会、これが日本の目指す方向だ。もし、高齢化社会の創造に日本が成功したら、世界中、日本を見習う。」


平均寿命が延びて、元気な高齢者が増えている。働く意欲を持ち、高齢者が生きがいをもって働く場が創設されることは望ましい。平均寿命の変化に合わせて、生産年齢を柔軟に見直すことも必要だろう。


大切なことは、高齢者が生きがいをもって、生き生きと暮らせる社会を構築することだ。この文脈上で、高齢者の労働の在り方についての見直しを考えることは有益である。


麻生首相発言が問題とされる理由は別の点にある。問題は麻生首相にとって国民がどのような存在として位置付けられているかにある。


「その元気な高齢者をいかに使うか。」


「いかに使うか」の言葉が自然に出てくる思考回路が問題なのである。


「この人たちは皆さんと違って、働くことしか才能がないと思ってください。」


「働くということに絶対の能力はある。80(歳)過ぎて遊びを覚えても遅い。」


政治の主権者は国民である。国民が国民のために政府を作る。政府は主権者である国民の意向を受けて政治運営を任され、国民の幸福を実現するために仕事をする。これが、国民主権の民主主義国家の基本形だ。


麻生首相の言葉は、麻生首相がこの基本を踏まえていないことを示している。麻生首相の言葉は政府が国民とは離れた高いところに位置しており、国民は政府の事情を満たすために「利用する」存在であることを示している。


麻生首相の発言は、社会保障財政、政府財政が厳しい状況に直面している現状を改善するには、元気でいるのに働いていない高齢者を働かせて、社会保障の受給者ではなく、納税者にしてしまえばよいのだという意味である。


麻生首相の言葉には、高齢者の立場に立って、高齢者が幸福になるために何をどう変えるかという発想がない。政府の財政事情を改善させることが第一の目的であり、この目的を達成するために高齢者をどう扱うのかを考察するとの思考回路が働いているのである。


これは「国民のための政府」ではない。「政府のために国民が存在する」との発想が原点にある。


さらに、「働くことしか能がない」とはどういうことか。


戦後の日本経済復興に汗水たらして働いてきた国民に対する言葉か。






戦後復興に尽力した人々の多くはたしかに、わき目も振らずに黙々と仕事にいそしんできただろう。その結果、日本は奇跡の復興と呼ばれる経済成長を実現した。勤勉に仕事をしてきたから、遊びを覚える時間はなかったかも知れない。


それを「働くことしか能がない」とは、あまりにも「人間の尊厳」に対する認識が不足している。


長い時間、勤勉に働いてきた高齢者が、高齢者になって、初めて自分のために時間を使うことを知り、それぞれの生活を潤いのあるものにしようとしている。これを、「60過ぎて80過ぎて手習いなんて遅い」と麻生首相は切り捨ててしまう。


麻生首相の発言は「失言」ではない。麻生首相の考え方を率直に示したものである。


これまでの自公政権は、国民のための政治を実行してこなかったのだ。


官僚、大資本、外国資本、御用メディアと政治が癒着し、「政官業外電の利権複合体の利益」を満たす政治を実行してきた。


この利権政治を維持するには、選挙で多数の議席を確保しなければならない。したがって、選挙の時だけ、国民の投票を誘導する施策を打ち出す。選挙を離れれば、国民は、利権政治を維持するための道具に過ぎない。だから、「高齢者をどう使うか」の言葉が出てくる。


頭を働かす首相なら選挙戦に入ってこのような発言を控えるだろう。そこまで考えが及ばないところに麻生首相の真骨頂が示されているが、最大の問題は、麻生首相にとっての国民の位置付けにある。


日本の政治を国民の元に引き寄せなければならない。


考えて見れば、歴史上、日本で国民の幸福実現を中心に据えた政府が樹立されたことはなかった。明治以降、官僚主権の政治が続き、現在に至っている。


1955年以降は、「政官業」の癒着政治が持続した。2001年からは、この利権複合体に「外国資本」と「御用メディア」が加わった。


この利権政治を排除し、国民を主役とする政府を日本の歴史上、初めて創設するのだ。「革命」と表現するのが適正だ。


麻生首相は考えていることをそのまま表現するので分かりやすい。国民がうわべの言葉に騙されて、間違った投票をしてしまうことを防ぐ意味で、麻生首相の行動は高く評価できる。


日本経済の復興に汗水流して努力してきた人々は、麻生首相がこの高齢者に対して、「どう使うか」、「働くことしか能がない」と述べたことの意味をじっくりと考えて、この麻生首相が率いる自公政権に今後も日本の政治を委ね続けるのかどうかを、よく考えるべきである。


高齢者でない人々も、このような考え方を持つ人物が率いる自公政権の存続を今後も認めるのかどうかをよく考えて、投票行動を決定する必要がある。


政権交代」が総選挙のテーマである。

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感想:高齢者になと働きたくても、働く場所がない。社会も高齢者が何時大きなミスをするかもしれないと思って
怖くて受け入れてくれない。
欧米では定年になったら、引退して余生を楽しむのが若いころからの夢だと聞く。上記のような発言をする首相を戴く日本という国は世界の中でも特殊な笑いもの国家なのだろう。

芍薬甘草湯と浮腫

最近の酷い足のむくみは、4年間にわたり芍薬甘草湯を連用したことが大きな原因であることが以下の記事によって明らかになった。

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甘草を含む処方(芍薬甘草湯)


甘草と低カリウム血症

 甘草を含む漢方処方は全漢方薬の3分の2以上を占めていますが、柴苓湯、八味地黄丸など、利尿作用(漢方では利水作用)を一つの目的とした処方には含まれていません。

 したがって、甘草は利尿の反対、つまり体液の体外流出を抑える作用があり、体に水分を蓄積する方に働きます。



 甘草を含む処方のうち、芍薬甘草湯は、構成生薬が2味という少ない配合のため、甘草の作用が最も強力に出現します。浮腫気味の人や尿の出の悪い人、つまり尿量や尿の回数の少ない人、喉がひどく渇く人などには甘草含有率の高い処方は使用しません。そのため、甘草を多めに含んだ漢方薬を服用した後、顔や手がむくんだような感じがする場合もあります。

 甘草の薬効として、吉益東洞(江戸時代)はその著書「薬徴」の中で甘草は「急迫を治す」と定義しています。甘草は、急性の痛みや痙攣に伴う筋肉のひきつり、痙攣の症状を治す作用があるという意味です。

 芍薬甘草湯エキスは足の筋肉のこむら返りや急性胃炎、あるいは尿管結石による腹痛などに即効性があります。アニサキス症や胆石症による腹痛にも芍薬甘草湯は早い効き目があり、西洋薬の鎮痛剤や筋弛緩剤より優れている場合もあります。

 また、こむら返りやギックリ腰の痙攣が起こったときにも効果があります。

 この様な働きが「急迫を治す」と記した薬効です。疼痛や痙攣緩和のためであれば、2時間毎など頻回に服用した方が効果があり、急性の症状は収まれば中止します。西洋薬のように1日3回食後という使用法ではないことを承知しておく必要があります。

 甘草を比較的多い比率で含む生薬数の少ない方剤は、体液が増加することによって高血圧を来したり、カリウム排泄が多くなるため低カリウム血症をきたして筋力が低下して立てなくなったりするミオパシーの症状を呈することがあります。連用する場合は、電解質特に血清カリウムの測定と血圧の測定を行う必要があります。

 高齢者にこのようなミオパシー(注:下記参照)や高血圧をきたす症状が多いので、高齢者ことに体力の低下したやせ型でエネルギー産生の低い衰弱気味の人には、服薬が長期にならないように、また服用中は長期になるほど電解質や血圧の測定を頻回に行う必要があります。

 芍薬甘草湯などを服用中に他の漢方薬との併用が必要な場合は、併用する方剤の甘草の量にも注意して、ほかの方剤、漢方薬の構成生薬としての甘草量が合計4g〜5g以上にならないように心がけておくことが大切です。

 最後に西洋薬との併用ですが、カリウムを低下させる利尿降圧剤やラシックスのような利尿剤と芍薬甘草湯などとの併用は避けます。逆にアルダクトンAは血清カリウムを増加させるので併用するのは差し支えありません。腎不全のような高カリウム傾向のある高齢者には甘草含有漢方薬との併用は好ましいと思われます。

 芍薬甘草湯のエキス剤はいったん熱めのお湯で溶いて、ゆっくり口に含むようにして服用します。そうすることによって甘草の主成分glycyrrhizinその他の成分も、芍薬の主成分paeoniflorinも小腸からの吸収が格段と良くなり、血中濃度も早めに上がって効果が十分期待できることになります。

 煎じ薬を冷やして飲んだりエキス剤をそのまま溶かさずに服用すると、成分の吸収が遅れ、血中濃度も低く、臨床効果がかなり遅れます。

            


(注)

ミオパチー

Myopathy

 筋肉が急に弛緩し、座っていて立てなくなる、手足が動かなくなる、四肢麻痺という症状

初期症状:階段が登れなくなったり、足の屈伸が不自由になっり、歩行障害など

躯幹に近い四肢筋群、とくに下肢、躯幹筋に筋力低下、筋萎縮を認めます。

蛋白異化作用、カリウム(K)排泄の促進作用によることが考えられています。

実験的には、筋線維の退行変性、壊死などの変化をとげることが報告されています。

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自由水

輸液を勉強する(1)


 海は、生物すべての源です。私たちの細胞は未だに海水の中でしか生きていけません。生体内の細胞外液は、海の水です。生理食塩水と呼ばれているものは、0.9%の塩水で、海水と同じ濃度です。

 ところで、のどの渇きは海の水を飲んでも満たされません。海の上で遭難した人は、水の上にいながら、脱水を起こして死んでしまいます。なぜ、海の水では、水分補給が出来ないのでしょうか?それは、海水は、“自由水”を含んでいないからです。

 自由水とは、「輸液剤の成分から等張液を抜き去った後に残る水のこと。」とされています。細胞内外を自由に移動できる水を自由水と呼び、この自由水という考え方を理解することで末梢輸液剤はすべて理解できます。

 0.9%以下であれば、多少の塩分が入っていても、水分の補給は出来ます。もし、0.9%以上の塩水(塩辛いみそ汁など)を飲んでときは、他の飲みものから水分を補給して、体内の塩分を薄める必要があります。

 自由水は、0.9%の生理食塩水を基準にして、それ以上どれくらいの水分を含むかということです。等張というのは浸透圧がこの生理食塩水と等しいということで、この場合の浸透圧は、電解質などの小分子(晶質物質)をさします。もう一つの膠質浸透圧については後日触れます。

 末梢輸液剤の電解質組成は、生体の水分の組成を基準として作られています。外科系病棟では細胞外液補充液、内科系病棟では3号輸液(維持液)が多く使用されています。細胞外補充液と維持輸液の違いは自由水をどれだけ持っているかです。

 細胞外液補充剤は細胞外液と物理的な晶質浸透圧が等しく、生食が代表的製剤で自由水を含んでいません。ハルトマン液は細胞外液の組成に極めて近く、生食との違いは陽イオンをより生体での組成に近づけたこと、また、陰イオンに乳酸イオンを利用しています。乳酸NaはNaHCO3に代謝されることからアルカリ補給の目的でも利用されています。

 輸液の基準にはすべて等張液が利用されており、等張液は細胞外液と類似の組成を持ちます。臨床上の脱水症のほとんどが等張性で、電解質を全く含まないfree waterのみの糖液の過量使用は水中毒を起こしやすく、また自由水free waterを含まない生食のみの過量使用は体液が高張性になりやすく、浮腫を起こします。いずれも希釈性アシドーシスを発生せしめることがあります。

 この自由水の含む割合の違いから、1号液(開始液)、2号液(脱水補給液)、3号液(維持液)などあります。詳細は、次回にて。

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<補足>


結合水:bound water

 結晶、水溶液、ゲルなどの含水系中に存在する水のうち、自由に動きまわる自由水free waterに対して溶質分子のまわりに強く引きつけられて、自由に動くことのできない水のこと。

 また、結合水の性質として冷却に伴う凍結を生じない、あるいは塩その他の溶質を溶かすことができないなどがあげられます。

 化合物の中にはいくつかの水分子を含んで初めて結晶化されるものがあり、この水は結晶水
water of crystallizationと呼ばれます。

 生体では組織と強固に結合した水分子があり、さらにそれはタンパク質分子内で側鎖の一部と主鎖との間に存在して立体構造を支えている結合水のある場合があります。植物では主にデンプンその他の炭水化物と結合しています。植物の種子が非常な低温でも凍結することなく生きながらえられるのは結合水によっています。

 蛋白質核酸のような生体高分子は水分子を除去しようとしても、約10%程度の水分子は除くことができないほど強く結合しています。この結合力は水素結合と静電的相互作用に基づくものです。

                                                                                                                                                              • -


  多くの漢方薬に含まれる甘草の主成分はグリチルリチン酸で、コルチゾールからコルチゾンへの転換に作用する11β水酸化ステロイド脱水素酵素を阻害する作用を持っています。
 この酵素がグリチルリチン酸の大量摂取時に障害され、増量したコルチゾールが尿細管の鉱質コルチコイド受容体に作用してNaの再吸収を促進させカリウム排泄を増加させるため、低カリウム血症を生じやすくなります。

 <<低カリウム血症による影響>>
1.循環系への影響
 低カリウム血症が著明になると、心伝導系及び心収縮力が影響され、不整脈が生じやすくなり、心機能低下をきたします。
2.ミオパシー
 ミオパシーは骨格筋を侵す筋疾患の総称で、低カリウム血症(電解質代謝異常)によるミオパシーでは、骨格筋由来のクレアチンキナーゼ(CK)値の上昇がみられます。
3.消化器系への影響
 低カリウム血症がひどくなると、平滑筋融解のため麻痺性腸閉塞を来すことがあります。
4.腎臓への影響
 低カリウム血症が長期間にわたると、尿細管の空胞変性、間質の繊維化、尿細管の萎縮が生じ、尿の濃縮力が障害されて多尿傾向となります。
5.心電図変化
 U波が増大し、T波よりも大きくなります。
 ST部分が低下し、ST感覚が延長します。
 T波は低くなり、陰性化します。
 PQ間隔が延長します。
 心房性期外収縮、心房性頻拍等の不整脈が起こりやすくなります。

 <<当院にある甘草含有漢方製剤>>

          甘草含有量         
         (g:1日服用量あたり)
 芍薬甘草湯   5.0〜6.0
 小青竜湯    3.0
 半夏瀉心湯   2.5〜3.0
 乙字湯     2.0〜3.0
 温経湯     2.0
 葛根湯      〃
 柴苓湯      〃
 柴朴湯      〃
 小柴胡湯     〃
 麦門冬湯     〃
 補中益気湯   1.5
 荊芥連翹湯   1.0〜1.5
 十全大補湯    〃
 六君子湯     〃
 加味帰脾湯   1.0

 甘草の量が2.5gを越えると低カリウム血症を生じやすくなります。2つ以上の製剤を併用する場合は、特に注意が必要です。

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・ 低カリウム血症の発現頻度は、長期服用、高齢者、女性で高くなる傾向があります。
・ 初期症状は、全身倦怠感、脱力感、血圧上昇、浮腫等です。(血清カリウム値の低下に注意)
・ 利尿剤、ACTH、副腎皮質ホルモン、グリチロン錠、下剤を併用している場合も要注意です。

 <患者さんに対する注意事項>

 動悸、息切れ、倦怠感、脱力感、筋力低下、筋肉痛、四肢痙攣・麻痺等の症状が現れた場合、直ちに受診すること。
 また、高齢者では偏食によるカリウム摂取の低下が起きないように指導して下さい。