ドラマ:珈琲茶館・欅亭

gladson2009-02-17

第8回を迎えた『文芸社ドラマスペシャル』。今回は、いちご一江・著『つくば ぶらいと珈琲物語』(文芸社)を原作に、田中好子長塚京三大滝秀治ら豪華キャストを迎え、笑いあり涙ありのロマンティック・コメディー!が面白かった。


つくばエクスプレスの開業に伴い、急激に“近未来都市”へと変貌を遂げた、茨城県つくば市。その洗練された街並みの中でポツリと不釣合いに佇む、昔ながらの喫茶店“珈琲茶館・欅亭”が、ドラマの舞台だ。主人公の春子(田中好子)は、椎間板ヘルニアで店に立てなくなった元店主の夫・高彦(長塚京三)の代わりに欅亭を守ってきたが、このところ大手ファミリーレストランやコーヒーチェーン店などの相次ぐ進出で、店を取り囲む環境は激変、先細りは目に見えていた。そんな中、店を譲ってほしいという謎の人物が現れて…。

妻がマスター、夫は主夫……すれ違いかけていた夫婦が再び手を取り合い、家族の絆を再確認するという普遍的なテーマを、軽快なテンポと軽妙なタッチで描いていく。さまざまな危機に直面し、崖っぷちに追い込まれた春子が、“家族”と“想い出の店”の“再生”を目指して奮闘する姿は、味わい深い一杯のコーヒーのように、観た人たちの心をホッと温めることだろう。

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光田春子(田中好子)は、茨城県つくば市にある小さな喫茶店“珈琲茶館・欅(けやき)亭”を切り盛りしている“肝っ玉ママ”。創業したのは夫の高彦(長塚京三)だが、高彦は椎間板ヘルニアを患い、店に立つことができなくなったため、春子が代わりに欅亭を引き継いできた。

駅前に進出してきたチェーン店の価格攻勢や不況の波に立ち向かうべく、パン薄切り限界への挑戦や、絶妙に目立たない価格改定の貼り紙など、涙ぐましい経営努力を重ねてみたものの、なかなか経営状況は改善しない。一杯ずつ心をこめて淹れるコーヒーにこだわり、謎の老人・吉沢(大滝秀治)をはじめとした地元の人々に30年近く愛され続けてきた欅亭ではあったが、いよいよ閉店するのではとの噂が街中に流れはじめていた。

幼なじみのタクシー運転手・塚本次郎(赤塚真人)から、欅亭倒産のウワサが広まっていると聞いて春子は憤慨するものの、今後、先細りしていくことは目に見えている。夫婦の想い出の店を無様に終わらせたくない、今のうちに潔く店を閉めたほうがいいのではないか…と、思い悩む。

そんなとき、定年退職後、都心からつくば市に移り住んできたという男・坂口政夫(志賀廣太郎)が、毎日のように欅亭に足繁く通っては、メニューの品を片っ端から食べ尽くしたり、机の上でこっそり電卓をたたいたりメモを取ったり隠し撮りしたり…と、挙動不審な行動をとる。春子やアルバイト学生らがその行動を怪しむ中、坂口はついに重い口を開く。

なんと、欅亭を譲ってほしいというのだ。坂口は、妻・澄子(黒田福美)と共に喫茶店を経営してみたいのだという。突然降ってきた買収話、しかも破格の好条件とあって、春子の心は大いに揺れ動く。ひとまず、アルバイト料は要らないという坂口を店員見習いとして働かせることに…。

するとそこへ、東京で派遣社員として働いていた一人娘のまどか(菊地美香)が突然帰省し、次の派遣先が決まるまで店を手伝ってもいいと言い出して…!?

光田一家と坂口夫婦、そして欅亭の運命は…!?