人間の絆(2):消費税問題

gladson2009-01-22

思い出の夏(4)ホップ摘み(続):
やがて彼が立ちあがると、彼女はわびれもせずに彼を見つめて、
「今晩いっしょに散歩にいってもいい?」
「うん」
「じゃ、向こうのまがきの木戸のところでまっててね、用がすんだら、いくから」
彼は、星空をあおぎながら、木戸の横木に腰をおろして待ちうけた。やぶいちごが熟しかけているまがきが、両がわに高く立っている。大地からは、夜の強烈な香りがたちこめ、空気はやわらかく、静かだ。胸が狂気のようにどきどき鼓動していた。わが身に起こったことが、少しも理解できなかった。情熱というものは、彼には、嗚咽や、涙や、はげしさなしでは考えられないのだが、サリーには、そうしたものは少しも見られないのだ。それでも、情熱がなかったら、どうして彼女は身を任せえただろう。しかし、彼にたいする情熱とは、いったいなにごとだ?


自分が愛と考えているような愛を、はたして彼女が彼にいだいているかどうかはわからない。だが、それでも、やっぱり?彼は、彼女の純粋さを確信していた。そうだとすれば、じつにさまざまなことがらが、つまり、彼女が無意識のうちに感じていたいろいろなことがら、たとえば、空気とホップと夜が与える陶酔感や、自然な女の健康な本能や、あふれでてくるやさしい感情や、それに、なにか姉らしい、母親らしいものを秘めた愛情などがつみかさなって、ああいう結果になったのではないだろうかと、漠然とながらに察せられる。そして心がいつくしみに満ちていたからこそ、彼女はすべてのものをあたえたのではなかったのか。


道に足音がきこえ、暗闇のなかから人影があらわれた。「サリー」彼はささやいた。
彼女が立ちどまって木戸にやってくると、それにともなって、田園のかぐわしい、清潔な香りがただよってきた。彼女は、刈りとられたばかりの干し草のにおいや、熟したホップの味や、萌え出たばかりの草のかぐわしさを身につけているようだった。口に感じられる彼女の唇は、やわらかく、豊満で、腕に抱いたそのかわいい、力強い肉体は、引きしまっていた。


「きみはまるでミルクと蜜にようだ」
彼は彼女の目を閉じさせて、かわるがわるそのまぶたに接吻した。強くたくましい彼女の腕は、肘まであらわだった。彼はそのすはだをなで、その美しさに驚嘆した。それは、暗闇のなかできらきら光った。ルーベンスの画にでもありそうな、驚くほどに白く、すきとおるようなはだで、片がわが金色のうぶ毛におおわれている。サクソンの女神の腕だった。だが、どんな神にも、こんなすばらしい、つつましやかな自然さはない。そしてフィリップは、すべての男の心のなかにひらくという、愛の花の咲き乱れた田舎家の庭を思い浮かべた。
「どうしてきみは、ぼくなんか好きになってくれるの?」彼はいった。
彼女は両手に彼の顔をはさんで、唇にキスした。
「あなたはかわいいおばかさんよ。それがあなたって人よ」彼女はいった。

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山本一太ブログより: 
午前10時40分。 議員会館事務所でパソコンを起動させた。 午前(朝の)8時からの「党財務金融部会」で、政府から提示された「税制関連法案」(付則案)について議論した。 90分の議論の後、付則案が部会で了承された。
 
 誤解のないように言っておくが、自分は「誠実さの塊」のような「保利耕輔政調会長」や、半分破れかかった財政再建の旗を身を挺して守って来た「園田博之政調会長代理」を困らせたいわけではない。 「消費税問題」の議論に(長年に渡って)取り組んで来た「柳沢伯夫・税調賞委員長」の見識や人柄にも敬意を払っている。 
 
 財政を再建するためには、成長戦略と歳出削減と歳入改革の3つが必要だ。 「少子高齢化」のスピードや増え続ける社会保障費を賄うための「将来的な消費税引き上げ」の必要性を否定しているわけでもない。 「責任与党として消費税の議論を逃げるべきではない!」という意見は(ある意味で)もっともだとも思う。
 
 さらに言えば、「オープンな議論」の場がなかった納得出来ないものの、「総務会」で決定し、「閣議決定」も終わっている「中期プログラム」の内容自体を今さらひっくり返すつもりはない! ただし、なぜ「景気が急激に悪化している」この時期に、税制関連法案の付則で(わざわざ)「経済状況が好転すれば2011年度から消費税を上げる」みたいなメッセージを国民に対して発信しなければならないのか。 その理由がよく分からないと言っているのだ。 
 
 世界的な経済危機の中で、各国が景気刺激のための「大胆な財政出動」を次々に表明している。 英国は「消費税の引き下げ」まで決めた。 世界中どこを見渡しても、「場合によっては3年後に増税します!」なんてことを言っている政府はない。 すでに国民の多くが「麻生政権は2011年から消費税を上げる」という印象を持っている。 この「現実味のない誤解」(=負のアナウンス効果)が発信されるだけで、景気に冷水を浴びせることになる。 だから「1人歩きする可能性の高い2011年度」という数字は法律に入れるのは避けたほうがいい。 そう主張して来た。
 
 え? 「財源」を示さないのは無責任だって?! それなら、与党の「税調大綱」にあるように「2010年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」と言えば十分ではないだろうか? しかも、今の経済状況を考えれば、「2011年に消費税を引き上げる」(=来年の通常国会増税法案を提出する)ことが可能だと思っている政治家はほとんどいない。(苦笑) 実際には無理だ。 にもかかわらず、ここまで「2011年」に固執する。 自分にはここがよく理解出来ない。

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河野太郎ブログ:
最近、やはり気になるのが、消費税云々を法律の付則に書き込むかどうかという自民党内の議論。法律の「付則」に何を書くかで、大騒ぎになっている。
神奈川新聞をはじめとして、で、河野さんはどっち派ときかれるので、正直、全く興味ないよ、と答える。

まず、僕は年金を消費税でやろうという主張なので、年金制度改革もやらずに消費税をどうこうするという議論自体がナンセンスだと思っている(河野総理になったら、その瞬間に、今の議論は白紙になる!)。

現在の経済状況は、かなり危機的で、3月末にかけて、製造業の大型倒産が出かねない。売り上げが激減し、営業利益レベルで赤字になり、出血している企業に金融機関が貸し出しを止めたら、そのまま倒れる。前期一兆円規模の売り上げの企業だって今の状況ではあぶないところも出てくる。部品メーカーは、その前に苦しくなってくるだろう。それにどう対応するかというのがまず喫緊の課題のはずで、2011年に何をどうするかは、これを切り抜けてからの話のはず。2011年の話に血道を上げているのは、極楽とんぼだ。

それに2011年に自民党が与党でいるのだろうか。結構、楽天的というか脳天気な人が多い。

第三次補正は避けられないはずだ。固定費を削減するために、エクイティマネーを入れて、人の整理をさせなければならない企業が出てくるだろうし、公費をつけてでも雇用を確保してもらうことをやらなければならない。新卒やロストジェネレーションを労働市場にきちんと残していかなければならない。

電気自動車などの購入に公費支援をつけるなどの需要喚起も必要だろうし、住宅の購入やリフォームのためには贈与税を一時停止するなどして金融資産を内需に向けるようなこともやらねばならないだろう。・・・・・