汚染米とお役人の立ち入り検査

汚染米農水省の立ち入り検査の怠慢というか、馴れ合い検査が大問題になっている。

お役人の検査とは、農水省に限らず、殆どの省でこんなものらしい。例えば今日読み終わった「脱藩官僚、霞ヶ関に宣戦布告!」(朝日新聞出版、2008年9月30日発行)で、元通産省官僚石川和夫氏は、現役時代の追憶として以下のように述べられている。

「・・・ここで15年以上前の話を一つ。私は規制当局の担当者として、ある大型火力発電所電気事業法に基づく安全検査に行くことになりました。私も含めて“検査官”二人が公費から出た出張費で、何時間も電車に乗って出張するわけです。
私は東京大学資源工学科を卒業しました。大学でしていたのは、石油や石炭、ダイヤモンドや銅といった資源がどこに埋まっているかの研究です。技官という肩書きで通産省に入っても、発電所の安全検査など、できるわけがありません。
ところが現場に着くとヘルメットを渡され、現場の技術者にこう言われました。『石川さん。ここのネジが緩んでいますから、ちょっと締めてチェックしてください』
明らかに出来レースなのですが、表面的には『通産省の石川課長補佐が検査に来てネジの緩みを発見し、指導してくれた』ということになります。役所の人間に気を使って、花を持たせてくれたのです(ちなみに今ではこのようなずさんなことは一切行なわれていません)。
ちょっと待てとばかりに驚いた私は、同行していた同僚に『こんなことしていていいんですか?』と率直にたずねました。答えは『そうですよ、こんなもんですよ』というもの。結局、役所に戻って検査終了の文書にハンコを押して終わりです。
国家公務員試験を通っただけのホワイトカラーが、高い技術的知識の必要な現場の安全検査をするなんておかしい。保安行政上、これは大問題だ』
私は上司たちに主張しましたが、あっさり無視されました。(中略)翌年、違う部署に飛ばされました」

汚染米事件で大臣や事務次官引責辞任した農水省は、通産省よりも2〜3周遅れた4流官庁のように思われる。