映画:人間の証明

gladson2008-06-17

6月17日(火) 晴れ
26℃、55%、No Set
22℃(朝外気温)、24℃(朝室温)、25℃(外気温:15.00)


黄色味をおびた痰はなくなった。だが、自重して、今日も家で、テレビを視てぶらぶら過ごす。


午前、録画で角川映画人間の証明(1977年)」をみた。原作者は、森村誠一。700万部を売り上げたミリオンセラーを誇る。ボケ老人は、似たようなサスペンス作家内田康夫と森村を、つい取り違いしてしまう。また「人間の証明」という小説を、「人間の条件」(五味川純平作)という小説と勘違いしてしまう。どちらにしても、“人間の証明”というタイトルにこだわった。この映画は、人間の欲望、愛情などを描いている。といえば、だから“人間の証明”だといえば、全ての映画が“人間の証明”になってしまう。他の映画(小説)を出し抜いて、魅力的な旨いタイトルをつけたものである。

この映画で、欲望とは、名誉欲、金銭欲などである。愛情とは、自己愛、母性愛である。
戦後の無一文から有名ファッションデザイナーとして成功した妻(岡田マリ子が演ずる)には、焼け跡時代に米軍黒人兵にレープされて、男子を身篭ったという暗い過去がある。一方有力政治家になり上がった夫との間にも1人息子がおり、この息子が自動車ひき逃げ事故を起こした。息子から事実を明かされた妻は、息子をアメリカに逃亡させる。
その頃、東京の高層ホテル最上階レストランへ続くエレベーターの中で黒人青年がナイフを胸に息絶えた。事件を追う所轄署刑事(松田優作が演ずる)はアメリカに飛んで、この青年が妻の子であって、妻、つまり母に会うために日本を訪れたこと、そして犯人が妻(母)であることを突き止めた。それを知って、妻は夫に「別れたい」という。何も知らない夫は、「分かった。ハワイにある土地をあげるから、それを売って金に換えればよい」と、肝っ玉の太いところをみせる。

この映画は、高度成長期を終えて、世界第二の経済大国と成りあがった1977年の日本には、まだ戦後の傷跡が残っていたことを物語っている。

当時このようなタイトルの小説や映画があったことは知っていたが、仕事に追いまくられて、読んだり視たりする機会はなかった。



午後、やはり録画でイギリス映画「マッチポイント(2006年)」を視る。

イーストマン社を背景にした往年の名画「陽の当る場所」の現代版といえよう。ロンドンの富豪の豊かな生活を、美しい風景をバックに存分に堪能できた。オペラのバック・ミュージックも心地よい。不倫の相手となり、妊娠、最後は邪魔者として殺されたノラは、なるほど、できたら恋人にしたいようなセクシーな美しい女性だった。添付の写真に示すように、淫らなノラを演ずる女優が、清純な「真珠の耳飾りの少女」を演じたスカーレット・ヨハンソンであることを、後で調べて分かった。大女優は変わり身がお上手である。タイトルの“マッチポイント”とは、
愛に負けるか。欲に勝か。それでも人生は、運が決めるということらしい。