古書店漁り

東斜向かいの敷地コンクリートのドリルでの壊しが始まったせいか、うるさくて、テレビの音もよく聞こえない、読んでも頭に入らない。それで、外気温は32℃と真夏日のようだが、昼前に、藤沢へ逃げることにした。日差しは強いが、爽やかなそよ風で、暑さを余り感じない。

北口のブックオッフ(古書店)へ行き、文庫本、新書版など10冊ほど買う。いづれも財政、金融、政治、随筆関係で、一頃熱中した小説はなし。最近虚構の世界より、実世界のほうに関心が向うようになったせからだろう。帰途、まだ生き残っている古書店の前を通りがてら屋外積みを覗いたら、その中に「西山弥太郎(元川崎製鉄社長)追悼集」という分厚く、重たい本を見つけた。珍しい本なので、高いのだろうと諦めかけながら、値段を調べたら500円とあった。西山氏は尊敬する業界の先輩である。両手に重たいビニル袋を抱えて、辛うじて駅横のデパートのカフェに入って、遅いイタメシ・ランチを、買いたての本をボツボツ読みながら1時間位かけて摂った。その内に客が満員状態に増えてきた。周りは中年のおばさんばかり。まるで女性専用車に紛れ込んだような嫌な気分になり、早々に支払いを済ませて店を出た。

重い重いといいながら坂道を登って我が家に辿りついたら、相変わらずドリルの音が五月蠅い。家内は諦めているようである。いそいで朝刊と夕刊を読んでから、ベッドに入って浮腫んだ脚を横にした。


ミヤンマーで、邦人記者がデモに巻き込まれて射殺されたと大きく報道されていた。腐った独裁政権には困ったものだ。わが国でも戦前、戦中には、いや戦後の第一次安保騒動でも、これに近い状態があった。健全な民主主義は有り難いものである。この点では、良き時代のアメリカさんに感謝、感謝。