超格安航空会社

猛暑が戻ってきた。冷房のない部屋にいると、気分がわるくなる。

台湾の中華航空ボーイング那覇空港で着陸後に、左エンジンが出火、炎上したとのテレビ・ニュースが昼飯時に流れて大騒ぎのようだ。幸い乗客は全員無事避難した由。こういうニュースを聞くと、少し料金は高くてもより安全な航空機に乗りたいと思うのは人情だろう。


ところが、ヨーロッパでは、格安航空会社(ロー・コスト・キャリアーLCC)を使って数千円で海外旅行するのが当たり前になっているという。例えばロンドン・ミラノの片道料金が最も安いもので、税金や空港使用料込みで10ポンド(約2千5百円)のそうだ。近い将来的には、ロンドン・ニューヨーク間が片道12ドル(約千3百円)で結ばれる時代が来るという。

なぜ、このような異常な低料金が可能なのか?理由は、徹底的なコスト削減であるという。

無駄なものが一切ない。搭乗券はない(乗客はインターネットで座席を予約し、搭乗券を予め印刷して持参する)。すべて自由席。窓の日除けカバーがない。前の座席の背中に物入れのポケットがない。椅子はリクラインしない。これらは、清掃をしやすくするためである。機内の清掃は外注せず、客室乗務員がやる。食事は出ない。

飛行機の回転率を高めるために、フライト・スケジュールが、着陸してから再び離陸するまで40分になっている。予約はほぼ100%がインターネットを通したものなので、旅行代理店に払う手数料も要らない。空港では使用料がかかるゲートを使わずに、乗客はタラップで地上に降りて、空港ビルまで歩く。首都のような都市では、いわゆるメインの空港は使わず、「サブ空港」を使っている。

座席指定がないので、家族で旅行しても場合によっては一緒に坐れない可能性がある。機内で何か食べたければ、有料で軽食や飲み物を購入することもできるという。丁度新幹線に乗る場合のようである。

このようにして、格安航空会社の業績は好調だという。例えば欧州最大のラインエアーは、今年3月末の決算で税引き後利益を約670億円挙げているそうだ。このような流れはアジアにも来ているそうだ。


極東の島国でヨーロッパによる植民地化をかろうじて免れたわが国日本では、国土交通省による規制があり、値段が下がると、既存の航空会社やJRが困るので、以上のような超格安航空会社の実現は難しいだろう。豊かな国の日本人は、高くても安全で、家族揃って旅行を楽しめる航空会社を選ぶだろうから。

それにしても、ヨーロッパの人たちの激安競争には感心した。グローバル化時代における日本の将来が思いやられる。