人口減少社会

今の現役世代は、不安が一杯。その一つの理由は、子供の数が減っていること、即ち少子高齢化社会で老年を送らねばならないこと。こうなると、年金一つとっても不安である。

これについて、日下公人氏(東京財団会長)は、小泉時代に示唆に富むことを言っていた。すなわち、

小泉内閣は『政府は夫婦にカネを出す、だが民間はヒマを与えよ』という姿勢のようだが、これは多分、失敗するだろう。結婚や出産を経済的にのみ考えていて、文化や男女の心情への配慮がないからである。」と。

続いて、人口減少を食い止める効果的な方策についてマンガ的暴論を吐いている。
少子化の原因は、晩婚率の高さにある。未婚の人になぜ結婚しないのかと聞くと、大抵は「よい男(女)がいない」と答える。それが彼らの心理なら、何とかして良い男(女)を増やせばよい。
テレビにイケメン(美男)・グラマー(美女)ばかりが登場するので、それを見ると、周りの異性に魅力を感じなくなる。それなら政府が各テレビ局を「視聴率より公共の利益を重視せよ」と指導し、イケメン・グラマーが活躍する番組を減らし、個性的なタレントや多産系体型の女優を活躍させればよい。


本当か嘘か分からないが、日下氏によると、昔の日本の家庭教育には、美男・美女を追いかけるのは二流の人がすることだ、という教えがあったそうだ。
母親は娘にこう言って教えた。
「うちの父ちゃんは世界一良い男だ。私はそう思って結婚した。男は顔じゃない。心だ。度胸だ。父ちゃんみたいな人を探しなさい」

父親も息子に同じことを教えていた。現に1920年代、1930年代の日本にはカネもヒマもなかったが、全国平均で5人家族だったのだ。良い男(女)の基準を親が教えるのが一番である。
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以上はたしかに名案だが、テレビ局の指導は実現不可能だ。こんなことをしたら、政権はたちまち崩壊するだろう。今の状況で実現可能性が一番高いのは、夫婦別称を法律的に認めること、または未婚の母、子を法律的に差別しないことだと思う。このように高度に文明化した日本でも、子孫を残そうという本能はまだ残っているだろうから。そして堕胎の条件を法的に厳しくすることが、人口減防止に役立つだろう。安倍政権も、このような大胆な方策を打ち出して“反対勢力”を意識的に作り出し、それと小泉みたいに大胆に闘えば、一挙に人気を取り戻せるかもしれない。