零細企業の不安

蝉時雨が騒々しい。こう暑いと、本物の時雨、いや大雨が欲しい。

一昨日に買ったエアコンの取り付けに早くも、11時に工事人が来た。昼食もとらずに汗みどろになって取り付け工事をしてくれた。50歳ぐらいに見える小太りの男だが、1人で来て、重い屋外機を2階まで運び上げたりして2時間ぐらいで取り付けを終え、試運転も無事完了。盆休みというのに、有り難いことである。午後、家内は涼しい部屋でぐっすり昼寝をして、エアコン故障以来の寝不足を解消したようだ。

それにしても、零細企業と云っては悪いかもしれないが、この種の職場の日本人はよく働く。怠けると仕事が無くなるという恐怖に絶えず曝されているせいだろう。小説家、評論家などの文筆業者も、同じらしい。彼らの随筆などを読むとそのようなことが書いてある。

自営1人弁理士だった頃の私もそうだった。開業後5年ぐらいの間は、バブル前の景気がよい時代のせいかもしれないが、次々と絶え間なく依頼が舞い込んだ。これらの仕事は、先願主義のために一日も早く出願するのが望ましく、そのため土日無しに夜遅くまで年中働きづめだった。

当時は高率累進課税のため、働いた割には手取り収入は多くなかった。そのため弁理士業の法人化を認めさせようとする政治活動が大手事務所を中心に起こったが、1人事務所のような零細事務所が業界の大部分を占めるため、この運動は潰された。
元々身体が余り丈夫でなかった私は遂に、両眼ともに視野左半分のみという視野狭窄脳梗塞で倒れた。幸い梗塞の場所がよかったせいか、視野も徐々に回復して、目立った後遺症もなくこの年齢まで一応長生きしている。
こういう点では、社会保険庁職員のような気楽な公務員が羨ましい。