槍ヶ岳登山

暑い!暑い!外気温33℃とも34度ともいう猛暑。最近このような高気温の日が続いたが、風があったので、それほど暑いとは感じなかった。今日はほとんど無風。そのせいだろうか、暑い。この暑さでの外出は年寄りには危険なので、屋内でごろごろ過ごす。


エアコンなぞ勿論なく、同じように暑く、家でごろごろしていた平和が甦った戦後初めての夏休みを懐かしく想い出す。当時松本医学専門学校(今の信州大学医学部の前身)の学生だった3歳下の弟が帰京していて、北アルプス槍ヶ岳に登ってみないかと言う。松本からアルプス銀座という尾根を通って簡単に行けるそうだという。共に欠食若者で、飢えてはいたが若さに伴う元気だけはあったようだ。60数年前のことで詳しいことは覚えていないが、途中遭難しそうな怖い目にあったが、ともかく槍ヶ岳の頂上で、紅が徐々に広がる荘厳なご来光を見た記憶が鮮明である。
帰りは、白銀に輝く大雪渓をクレパスに落ちそうになりながら辛うじて渉り抜けてから、梓川上流に沿って降り、槍沢の空きテントを失敬して1泊して清々しい梓川の朝を堪能した。腹ぺこぺこで、途中上高地の帝国ホテルの赤い屋根を睨みながら、何とか帰宅したものである。
戦後間もないのに、登山道や山小屋がよく整備されていたのに感銘したものだ。登山者も結構多かった。平和の甦りは早かった。



数日前に、NHKの「槍ヶ岳」を視たら、雪渓が殆ど映っていなかった。地球温暖化の影響がここにも現われているのだろうか。

翌年の夏は、既に社会に出ている友人に、出世払いで10円を借金して、卒論研究室の助手さん達(1人は女の子)と計4人で、雪渓を横に見ながら白馬岳に登った。帰途、無人の青木湖でロマンチックな夜のボート漕ぎをした。これで私の短い青春は終わった。それ以来アルプスに登山したことはない。