中越沖地震、その後

中越沖地震の被害状況が次々と明らかになってきた。

第1は、柏崎原発の直下まで活断層が延びてきていたということ。
テレビに原発敷地の地割れがはっきりと映っていた。
第2に、微量ながら大気中に放射性物質が放出されたこと。

第3は、トヨタの自動車生産が全面的にストップしたこと。リケンの柏崎事業所(ピストンリング工場)が、地震のせいで操業停止したことによるという。

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話は少し飛ぶが、大前研一氏によると、どこまで広く統計を取ったのか分からないが、いまの10台後半〜20台前半の日本の若者たちは、それ以上の世代の日本人とは全く異質な価値観を持っているようだと云う。以下彼の文章の要約。

彼らは「モノを所有する」ことに対して欲望がない。また、新入社員で社長までなりたいと思う人は10%前後で、「昇進欲」も減退している。そして、世の中とつながるライフラインは携帯電話だけ。

戦後の日本人をドライブしてきたのは「所有欲」、そしてそれを実現していくものが「出世欲」だった。その究極が住宅であり、普通の国はそこからさらに別荘などに広がっていくのだが、どうやら日本の10台後半〜20台前半の若者たちは、住宅の手前の段階で「所有欲」を喪失してしまったようなのである。

しかし日本人に「願望」がなくなったら、日本は、スイスのような「無気力国家」になってしまう。スイスは世界一豊かな国なのに公園には昼間から若者がたむろして大麻を吸っている。豊かさの果てにあるのはスイスのような退廃かな、という危惧を抱いていたのだが、日本も何となく似たような状況になってきた。
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以上の大前氏が描いた「10台後半〜20台前半の日本の若者たち」の心境は、今の私の心境とよく似ている。要するに、日本人が老化したということであろう。私たちが若い頃は先が全く見えなかったので、夢があった。今の若者には、先が見え過ぎているので、諦め観が先に立っているのだろう。
例えば、今後は一生懸命頑張ってエリート官僚となっても、天下っておいしい実を食べることができなくなる。また、起業して成功し社長となって大金持ちになっても、ホリエモン堀江社長)や折口グッドウイル社長、或いは今日有罪懲役判決が出た村上ファンド代表のように叩き落とされる。

‘物欲’以外にもヒトには、精神世界での‘欲’があるのだが、先ずは「衣食足って礼節を知る」である。その上、日本人は本質的に無宗教というか、汎神教徒であって、宗教による規範が乏しい。ある意味でそれはよいことなのだが。これから先の考察は、難かし過ぎるので、専門家に任せたいと思う。