作家猪瀬直樹

梅雨の谷間の曇り日であるが、空気が爽やかなので、大船へ行く。
目的は、Oh_PlazaのECO BOOK(古書店)で、猪瀬直樹氏の著書を探し、見つけたら買うこと。今日は、「ミカドの肖像」と「今をつかむ仕事:日本凡人伝」の文庫本を見つけて買った。

先月の30日に買った同氏の「唱歌誕生」、「日本国の研究」を読んで、猪瀬氏の作家としての力量に感服した。「唱歌誕生」は、ノンフィクションであるが、抒情性に富み小説のように面白く読めた。同氏の作品を読むのは今回が初めてである。

「日本国の研究」は、「文芸春秋」に、1996年から1997年にかけて連載され、単行本として出版されたのは、97年3月のそうで、20世紀末から今日に至る行財政改革の有効な診断書、処方箋となったと云われる。小泉改革の原点がここにあったのを、この本を読んで初めて知った。


世界の内外を問わず、1つの著書が歴史を変えた例が多い。
マルクスの「資本論」は、ロシア革命を引き起こした。ヒットラーの「我が闘争」は、第二次大戦のドイツ側の指導理念となった。

近くは田中角栄の「日本列島改造論」は、官僚(私の義兄の検事を含めて)の必読書となって、列島改造ブームを起こした。その状況を懸念して書かれたと思われる立花隆の「田中角栄研究」は、田中首相の逮捕、追放に導いた。

アメリカのイラク攻撃開始(平成15年3月19日)の3ヶ月前に書かれたという日高義樹著「アメリカの世界戦略を知らない日本人」には、攻撃開始からバグダッド占領までの筋書きがそっくり述べられていた。この本を読んだ当時の私は、「こんなにスピーディに殆ど死傷者を出さずに、悪の大国イラクを抑えることができるなら、早く攻撃を開始して、フセインをギュット云わせればよい」と、無責任な愚かな考えにとり付かれたものである。