社会保険庁とNTTデータの癒着

今日の夕刊によると、国会閉会を受け、安倍首相が、今夕の記者会見で、年金問題に関して以下のように表明するという。参議院選対策のようである。今までさんざん騙されてきたので、眉に唾をつけて聞いた方がよいと思う。

社会保険庁のコンピューター内にある5千万件の未統合記録の照合を進めるために、複数の新たなプログラムを開発。従来、08年4月までにシステム開発するとしていたが、5カ月早い今年11月までに開発を終了できることになり、照合や通知作業も早められるようになった。
 また、全体の照合作業が終了するのを待たずに、記録の持ち主と思われる人が分かった時点で、年金受給者、現役世代を問わず、ただちに本人に通知する。08年3月末までにすべての照合・通知を完了するとしている」


騙されないためには、社会保険庁のコンピュータとそのプログラムの開発体勢がどうなっているのか知ろうと思って、「週刊ポスト:7.13」の「“消えた年金“追撃リポート:PART 2」の要約を次のように、書き記してみた。


『東京都三鷹市の広大な敷地に、近代的なグレーの外壁の建物がそびえている。「NTTデータ三鷹ビル」その3階部分に入居するのが「社会保険業務センター三鷹庁舎」だ。ここに、厚生年金と国民年金の加入者、約7000万人のデータを管理する巨大なコンピュータがある。
社会保険庁は、三鷹にあるホストコンピュータと全国312か所の社会保険事務所および事務局の端末を専用回線で結び、「社会保険オンラインシステム」を組んでいる。この事業を委託されているのが、NTTデータなのだ。

社保庁は、1967年からオンライン化に着手し、74年に当時の電電公社システム開発を委託した。電電公社が民営化された後も子会社のNTTデータが引き継ぎ、現在も同じシステムを修正しながら使っている。身内の社保庁職員でさえ「骨董品」と称するシロモノである。

このシステムに、社保庁は05年までの38年間で1兆4000億円を投入、NTTデータと関連会社はこの7割以上にあたる1兆632億円を受注している(残りの約3560億円は日立製作所及び関連会社が受注)。専門家によると、NTTデータの単価は民間や国税庁などに比べて遥かに高い(ほぼ2倍近く)そうだ。

特に最近5年間は、年間1000億円以上の年金保険料が、システムの使用量などとして主にNTTデータに注ぎ込まれているのだ。

社保庁による同社への支払いの財源として税金を使っていた97年以前は、おおよそ350億円〜500億円だったのが、98年度から年金保険料を充てるようになってからは、毎年のように100億円単位で増え05年には焼く840億円になっている。

それだけではない。
厚労省社保庁が年金制度を改正したりすると、支払いミスをしたりすると、プログラムをいじるために、余分な経費がかかる。その際、社保庁ではなくNTTデータがプログラムの著作権保有していることもコストを上昇させている要因となっている。プログラムの追加・改変をするための競争入札を実施するためにはNTTデータの了承が必要で、事実上、同社と随意契約せざるを得ないのだ。例えば04年の年金改悪の伴うプログラムの開発には約150億円がかかり、そのうち12億円がNTTデータに支払われている。

現在の5000万件の「消えた年金」問題についても同じような流れになりそうだ。
名寄せプログラムの開発業者は、現在のところ正式決定していないが、「これまでの流れでいくと、NTTデータ日立製作所随意契約で発注するこになる」といい、またまた、利益が転がりこむ可能性が高い。

名寄せ作業の期間や費用などの全体像は不明だが、またもNTTデータが、“特需”に沸くという点は同じようだ。

どうして、ここまでNTTデータが儲かる仕組みができているのだろうか。そこには、社保庁厚労省ぐるみの“コンピュータ利権”の構図が浮かび上がる。NTTデータ及び関連会社への天下りである。

3年前には年金官僚10名以上がNTTデータの役員などに天下っていた。
今回新たに発覚した人物は、社保庁次長から年金福祉事業団の理事、さらにNTTデータの常務に天下っていた谷口正作氏(62歳)。同氏は退職後、「全国社会保険協会連合会」に常務理事として再就職している。谷口氏といえば、85年9月に年金記録の紙台帳の破棄を指示した当時の社保庁金保険部業務第一課長。いわば、「消えた年金」の“A級戦犯”の1人だ』


ここで、疑問が湧く。安倍総理がいう、「複数の新たなプログラムを開発」は、何所と契約したのだろう?依然としてNTTドコモ日立製作所連合だろうか。それともIBMまたは富士通だろうか。後者の場合の著作権問題は?予算は、年金保険料からか、それとも税金からか。素人の私には皆目想像もつかない。