アイスマン

進化に興味がある。猿から人への進化は具体的にどういう経過をたどったのか?ヒトに白人、黄色人、黒人の差があるのは何故か?突然変異だけでは、片付かない、よく分からない疑問点が数多い。

それで、昨年大船のECO BOOK(古書店)で、「ダーウインの使者(Darwin’s Radio)(上)(下):グレッグ・ベア、大森 望=訳」の帯に書いてあった“かって誰も予想しえなかった人類の起源、そして未来――現代SFの巨匠ベアが描く、人類進化の新たなるヴィジョン”にだまされて、上下2冊を買ってしまった。

早速’フィクションでもよいから、何か謎が解けるだろう’と期待に胸を膨らませて読み出したが、冒頭の第1節に「・・・イタリア国境近くのオーストリア、アルプス山中で。初代のアイスマン、エツイは葦のケープを頭にかぶっていた・・・」とあり、第2節はグルジャ共和国、その後は舞台はアメリカに移り、登場人物が数多くてストーリについていけないので、上巻だけで読むのを止めてしまった。


この小説から得るものは無く、2度と読むことはないだろうと思って、2冊を廃棄しようと用意をしていた。最近偶々NHK放送大学の録画を視たら、‘アイスマン’というミイラは実在で、現在インスブルックで大事に保管されているといって、そのビデオ映像を視せられた。1991年にアルプス氷河の中からミイラ状態で発見された、5300年前の旧石器人の遺体のそうである。そのレプリカは日本の博物館でも見られるそうである。インターネットで調べたら、よい詳しい情報が続々と出てきた。それでこの小説に、ある程度の真実が秘められているかもしれないと考えて、廃棄は当分見合わせることにした。
アイスマンは日本でいうならば、縄文人の遺体(ミイラ)が日本アルプスの万年雪の中から発見されたような驚きものである。1991年当時は世界中が大騒ぎであったろうと想像するが、当時は仕事が忙しく、進化の話どころでなかった。