ミッドタウン

六本木ミッドタウンへ行き、今帰宅したところである。
梅雨どきには珍しい32℃の真夏日。一時過ぎに渋谷ハチ公前に、いつもの飲み友達S君、Mz君、My君および新入りのクラスメートO君と集まり、バスでミッドタウンへ行った。外苑東通りから入り、緑の木陰の広い賑やかな歩廊を歩いて53階の一番高いビル(ミッドタウン・タワーということに後で気付いた)の中の廊下を、厚い絨毯を踏んで右に、右に曲がって行けども、見事な絵とアンチークなソーファ、椅子があるたけで、ショップらしいものは無い。おかしいなと思っている内にホテルマンらしい男に出会った。訊くと丁寧に出口を教えてくれた。出口の絨毯には、The Ritz_Carlton と表示があった。後でフロアガイドを読んだら、一般人が立ち入りできるのは、ガレリア、プラザおよびガーデンのみのようだ。私たちはホテル内に迷い込んだらしい。

出口先には、美しいガーデン(檜山公園)が広がっていた。その木立の中を池に向ってゆっくりと下って、日本家屋式のレストハウスのベンチで、暫く池を眺めながら、また駄弁りながら風景を楽しんだ。ガーデン芝生の子供の遊び場先にあるモダーンな平屋を覗いたら、21 DESIGN SIGHTという所だった。

ガレリアに入って、賑やかなガーデンやテラスがみえるホンダのショウルームでえびすビールを飲みながら、4時半過ぎまでとりとめのない歓談をした。O君が用事があると云って中座した後、ホテル前から、美人のベルボーイのガイドでタクシーに乗り、JR神田駅近くのMz君なじみの割烹風の飲み屋へ行く。途中、学生時代の思い出話をしながら、戦争の怖さを知らない安倍とその一味を阿呆とけなして気炎を大いにあげた。降りるとき清算しながら、ドライバーに「失礼ですが、お客さんは元公務員でいらっしゃいますか?」と尋ねられた。高級ホテルの前から乗ったから、天下り成金と勘違いしたのかもしれない。確かにMz君はそうだ。ドライバーの勘は鋭い。「いや、会社員です」と返事をしたら「重役さんですか」としつこい。「いや、唯のサラリーマンです」とかわした。

飲み屋では、すっかりなじみになった女将が出迎えてくれた。7時半過ぎまでここで、日頃淋しく、話相手なく孤閨を守っているMy君が雑学をしゃべりまくった。例えば、「女の子を産み分ける方法(ここでは恥かしくて書けない内容の)が、江戸初期の本に載っている」という。それに対して、「その方法をお孫さんに直伝したので、やっと女の曾孫さんができたのだな!」と、時々冷やかしを入れる他は、面倒なので専ら聞き役に回った。そんなやりとりの後、9時過ぎに帰宅した。
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ミッドタウンは、金持ちは自分の豊かさを充分に堪能でき、一方吾々貧乏人もそれなりに安ビール一杯で楽しめる、万人に開かれた、リピータを呼ぶ魅力ある遊びスポットであるという印象を抱いた。