恥の上塗り

今日の朝日新聞夕刊の2面に、「従軍慰安婦をめぐり、日本の国会議員有志や言論人らが14日付けの米紙ワシントンポストに、『旧日本軍によって強制的に従軍慰安婦にされたことを示す文書は見つかっていない』と訴える全面広告を出した」という記事が載っていた。

同時に同じ見開きの、その3面に「45年8月16日朝、東京・市谷台の陸軍省構内のあちこちで“異様な黒い煙”が上がっていた。・・・それが“機密書類を焼く煙”であることは、陸軍士官学校の区隊長として生徒を指導していた村上兵衛にはすぐわかった。・・・終戦時の蔵相広瀬豊作は、“文書の焼却は閣議で決めた”と証言する。

新聞社も写真や文書を処分した。歴史の証言者たるべき新聞社が、歴史の隠蔽に加担した。・・・8月下旬、朝日新聞東京本社の写真部は、保存していたフィルムと、写真を焼き付けるガラス乾板の処分を始めた。・・・」と言う記事が載っている。

戦争を知らない世代の人々は、上の二つの記事が意味するものにお気付きだろうか?下の記事は終戦後間もなく、当時の政府の方針で大規模な証拠隠滅が行われたことを意味している。上の記事は、その結果「慰安婦強制の文書はない」と主張している。この主張の根拠を訊かれたらどう答えるのだろうか。答えを聞きたいものだ。


証拠隠滅については、私が直接聞いた話を紹介したい。私が働いていた会社の退職者の集まりで、数年前に元総務部長だったY氏が、自慢気に語っていた。「昭和24年ごろ、東京本社から山口県にある工場に赴任した時、戦時中にこの工場で強制労働させられた朝鮮人3千人の名簿を見つけたが、これは不味いと思って直ぐに全部焼却した」そうだ。