「5000万件の年金不明記録」は、内部で公然の秘密だったのか?

「5000万件の年金不明記録」で、マスコミは大騒ぎ。第一次オイルショックのとき(昭和48年)の、トイレットペ−パー買占め騒動を思いだす。日本人は何故こうも一方向に流されやすいのだろうか。

今日、19年度の年金振込通知書が、社会保険庁から滞りなく例年通り届いた。年々少しずつ減る支給額から1カ月当り5000円もの介護保険料が引かれている。将来この保険の世話になるかもしれないので、やむをえないとは思いながら、この一部がグッドウイル会長折口氏のプライベート・ジェット機代になっているのかと思うと、嫌な気分になる。


今日発売の「週刊ポスト:6.22号」誌に、「老齢基礎年金・老齢厚生年金にかかる5年超遡及新規裁定件数・金額」というタイトルの下に、平成11年度から15年度までの毎年の新規年金受給者数と、時効でもらえなかった年金の件数・金額が表にまとめられたもののコピーが載っていた。

それによると、毎年新規年金受給者のうち2万人前後が「時効」を理由に年金を減らされ、平成15年度の場合、1人あたりの年金召し上げは平均133万円で、「総時効消滅金額」は290億円。

この資料は、小泉内閣の年金改悪法案(保険料の大幅引き上げと受給カット)を審議する04年2月6日の自民党総務会の際、一部の議員に配布されたもののそうである。
総務会では出席者の何人かから意見が出た。
「保険料を払っているのに、時効で年金をもらえない人がこんなにいる」、「このままでは詐欺といわれる」
だが、執行部からは「会計法で時効が決められているから難しい」という説明があり、当時の安倍幹事長は「これも直さなきゃ。時効は10年くらいに延ばしたほうがいい」と言ったそうだが、その後、救済問題は完全に棚上げされたという。

この背後には、「5000万件の年金不明記録」問題が深く絡んでいる可能性があるという。「誰のものかわからない年金記録が5000万件以上あることは厚労省社会保険庁内部では公然の秘密であり、勿論自民党の厚労部会の幹部も把握していた。“時間をかけて”処理していけば、受給者は知らないうちに死んでいくだろうというのが暗黙の了解だ。あの時、時効撤廃に踏みきれば、閣僚の年金未納や負担増への批判に加えて、記録漏れの問題に火が付きかねない。

その意味で、「時効消滅年金」資料は、安倍首相ら厚労族が消えた年金問題を封印してきた証拠とも位置づけることができる、と週刊ポスト誌の記者は、我田引水している。