家内の緊急入院

 家内が、車で15分ほどの所にあるS病院に昨夜遅く緊急入院した、その入院手続きを行なったり、必要な身辺用具を届けるために、昼前にS病院へ行った。寝不足を補うため、昼寝をして目覚めたところである。


家内は、昨日の朝からめまいがする、食べる気がしない、ふらふらするなどと、不調を訴えていた。明日(今日の30日)、S病院で簡単な日帰り手術をする予定なので、神経のせいだろうと初めは余り問題にしていなかった。だが、この様子では、手術は無理だろうということになり、昼頃に電話で延期を申し出た。

ついでにパートの仕事関係などで病気に詳しい娘のパート先に電話をして、意見を聞いたら「友人の母親が似た症状の時に耳からきた病気だったそうなので、耳鼻科へ行ったらよいのでないか」という。「生憎今日火曜日は近所の耳鼻科は定休日だ」というと、それなら「総合病院へ行ったほうがよい。何なら、今から休暇を貰って我が家に来て、S病院へ連れていく」と言う。83歳のよぼよぼの私では心許ないので、娘に任せることにした。

夕方6時ごろ電話があって、「胃から出血の疑いがあるので、これから胃カメラ検査を行うことになった。ふらふらの原因は、ヘモグロビン不足によるらしい」という。娘は子供たちの夕食の準備があるので、私と交代することにした。

家内はER(緊急外来)のベッドで点滴を受けていた。気が小さくて、あれほど胃カメラに恐怖を感じていた家内も、ここにきてはカメラを呑むのを断れなかったようだ。娘と一緒に「胃カメラなんか最初に飲み込む時が一寸辛いたけで後は何でもない」と励ました。


カメラ検査の結果は、「活動期の胃潰瘍で、出血のためにヘモグロビンが正常値の3分に2に減っていた」とのことで、カメラで撮ったカラー写真を渡されて、1週間位入院治療をした方がよいと言われた。‘ふらふら‘ や ’食欲がない‘ことの理由がよく分かった。私のひ弱な胃袋に比べて、鉄の胃袋を誇っていた家内が胃を犯されるとは想定外だった。

思うに、日帰り手術は半身麻酔で行うので、最近「麻酔のための注射は痛いらしいので嫌だ」としばしば洩らしていた。お嬢さん気分が抜けず、気が小さく、神経質の家内にとって、これが相当な重圧だったのだろう。それでストレス性の胃潰瘍になったのだろう。

担当医は、「日帰り手術は入院せずに済むほど簡単なので、今回の入院の原因になった胃潰瘍ほど重大な病気ではありません」と、優しく慰めてくれた。

胃潰瘍は、今はよい薬があって、入院治療で出血が止まれば心配はない。現に私は過去知らぬ間に、胃潰瘍になっていて、今はケロイド状の瘢痕が残っているそうだ。それでH2ブロッカー・タイプの胃薬を常用している。

退院してきたら家内に、作家の渡辺淳一と同じように「鈍感力」というか「無神経力」を養うように勧める積もりである。