新漢詩の会

5月7日のブログで、山本さんに「聞くだけでよいからと誘われた」と書いた「新漢詩の会」に、今日始めて出てみた。場所は、JR横浜駅西口近くの県民ホール。15階のビルの各室が、色々の同好会で満杯のようである。日本の文化活動は底の方から盛り上がっていると感じた。6階の一室で、私達の会は13時から16時まで行われた。参加者12名で、多くは70歳前後で、その中の数人は研究所時代の懐かしい知友である。初見の人々も同系の会社出身で共通の話題というか体験を持っている。気の置けないグループである。

この会のルールは、各自が自作の‘新漢詩’を披露して、コメントをし合うということのようである。鄙びた旅の風景の中での感慨を、平仄に余りとらわれないで、韻を踏んだ「新漢詩」にしたものが多かった。皆さん李白杜甫などの旧い漢詩(正確には唐詩というそうだ)をよく勉強しておられる。

コメントを含め知的な内容の会話が多く、久しぶりの愉快な半日だった。新漢詩といっても、色々の制約、規則があるようだ。そのために、発想の表現が充分にできず、先人の模倣に終わることについての反省の声もあった。その気持ちはよく分かる。しかし固く考えずに、芸術の分野で、例えば絵画なら写生画、音楽なら演奏、文学なら自然主義小説などと同列に、気軽に制作すればよいのでないかと思う。

この会は誠に魅力的であるが、自作の詩を発表しないで、聞いたり、質問するだけの出席には気がひける。西欧かぶれの私には、今更、中国古典の中に埋もれて、千年前の黴の生えた世界の作品を研究して、新漢詩を作る気にはなれない。それで次回からは遠慮することにした。