教養学部長の苦労話

風が強い、爽やかな五月晴れの中、一高懇話会に出るため上京した。
今日のスピーチは、「教養教育の育成をめぐってーー教養学部長の苦労話」というテーマで、講師は前教養学部長の木畑洋一教授。参加者数約60名の盛会だった。打ち合わせをしなかったが、飲み友達(私は飲まないが)のS君とMy君も来ていた。私と同様に余程暇なのだろう。


12時一寸前から簡単なランチが出た。ほぼ食べ終わった頃の、12時30分から講師のスピーチが20分程。その後は14時の定刻やや過ぎまで、吉村氏の巧みな司会の下、専ら質疑応答で面白かった。

私が特に興味をそそられた点は次の通りである。
1.学校法人化によって、自由度は増した。しかし交付金の毎年数%の削減は続く、将来は交付金がゼロになるかもしれないという恐怖がある。今は、競争的資金に応募して補助金を得るために頑張っている。
2.1990年初めに、大学設置基準大綱化(中味は、これまでのカリキュラムを緩めること)によって、他大学では教養部が解体された。しかし、東大は教養学部に大学院があった関係からも、教養学部を残した。
 オーム事件がきっかけでないかと思われるが、最近では、偏らない人格育成の観点から、大学での教養教育の重要性が再評価され始めてきた、例えば早稲田大学では、教養(学)部を新設したそうだ。
3.このブログでも取り上げた爆笑問題駒場進入については、矢面にたった小林康夫教授は、「あんなにくたびれたことはない」と嘆いていたそうである。これはNHKから持ち掛けられたのを受けた番組であるが、評判がよく、NHKがそのDVDを出して、売れ行きがよいそうだ。
4.某新聞社の企画で行われた立教大学を含む7大学の学長によるシンポジウウムで、教養教育とは、「卒業までに、英語をペラペラに話すことができるようにすることである」と一致したそうである。しかし東大は、その意見にNoで、英語(語学)教育は、読み,書きに重点をおいているとのことである。


散会後、3人で駒場図書館へ行き、私の「駒場友の会」のカードで入館できるように手続きをした。その後、中に入って様子を見たら、活気に溢れていた。私の一高生の頃は、図書館はがらがらで人影なく、入るのが恥かしかったものだ。今の学生の方がよく勉強をしていると思う。

何時ものように、カフェJrで一服してから、駒場美術博物館で、「創造の広場 イタリア:永遠に再生する春」を見学した。文庫本くらいのサイズの「ダンテ:神曲」の印刷本(西暦1500年頃刊行)の実物を見て、西欧の文化の先進性に感服した。


帰途、K鍼灸院に寄って、6時に帰宅。