JALの資金繰り

日本航空(JAL)の西松社長は、13日の定例記者会見で、今年に入って日本政策投資銀行などから711億円の融資を受けた、その上に今年度から始めた特別早期退職制度に、地上職や客室乗務員の54歳以上の部長職約250人が応募したことなどを踏まえて、「年度内の資金繰りには問題がなくなる」と述べたそうだ。

財務にはど素人の、またJALとは全く利害関係がない私であるが、この記事を見て、受けた融資の多くは、割り増し退職金に支払われるのでないかとの臭いがして、ナショナル・フラグである“JALは遠からず危ない”と感じた。この感じが間違いであることを祈りながら、JALの内情について少し調べてみた。


JALは、今時珍しく9の労組を抱え、その内8の労組は一切の賃下げを認めないとのこと。日航機長組合という労組までがあり、組合員は1200人で、1000人が3000万円プレーヤーだという。機長の人件費だけで、ざっと300億円に上る計算になる。国際的な機長の年収水準はせいぜい1500万円のそうだ。これでは国際競争力がない。

すでにJALは2兆円の有利子負債を抱えているそうである。今後景気がよくなって、金利が仮に2%上がれば、400億円の金利負担増になる。これでは、700億円の借金も帳消しである。融資を実行している銀行団の中心は、日本政策投資銀行という政府系の金融機関のそうである。融資の原資は公的資金だ。仮に銀行団が見放せば、JALは倒産する。
しかし現在民営化の動きがある日本政策投資銀行はすでにJALに、3000億円以上の融資をしているので、倒産となれば、その大半は焦げ付いてしまう。民営化銀行不要論が起こるおそれがある。旧国鉄の場合と同じく、そのツケは国民が払うことになるのだろうか。すなわち国際基準を遥かに上回る高い日航機長たちの給与の尻償いを、国民がすることになるのだろうか。