うっかり忘れ

天気図によると今日は、大陸と太平洋の高気圧が日本列島の上空でせめぎあっているせいか湿り気を含んだ空気の、季節にしてはやや寒い陰鬱な曇り空模様。
その中を、生垣の満開が近い躑躅、その奥に開き始めた花みずきや藤の花などを眺めながら、近所のT医院へ何時もの胃薬などを貰いに行く。


ビニール袋に入れられた大量の薬を持ってローソンへ回る。ここで薬入り袋と、「週刊ポスト:5.4/11号」を備え置きの青いプラスチック籠に入れてから、木村屋のあんぱん2個もその籠に入れ、支払いを済ませた。そこまでは記憶がある。

それから軽い上り坂道をフーフー言いながらやっと我が家近くに着いた。ふと見ると、向かいの家の奥さんがタクシー待ち顔で立っていた。挨拶するために顔を下げた途端に、薬と買い物を入れたままの青い籠を手に抱えているのに気付いた。奥さんはそれをジーットと見つめていたようだ。気まずくなって「すっかり、呆けてしまって」と言い訳したら、にこにこと「お互い様ですよ」という返事が返ってきた。

薬や買い物を、家の中に置いてから急いで籠を返えしにローソンに戻った。山積の空籠の上に、問題の籠を載せながら店員に「つい、うっかりして」と言い訳をしたら、にこりとしながら「いいですよ」と、何のお咎めもなかった。支払いを済ました後だから、良かったものの、下手すると無意識の万引きをしていたかもしれない。
ここで貰うレシートは何時も、レジカウンター前に備えられたボックスに捨てていたが、今後はレシートを必ず持ちかえることと、反省した一日だった。


巨人軍の長島が、出先で幼い小供を置き忘れたという有名な逸話に比べれば、まだ増しの方かもしれない。私にも、まだ凄い集中力が残っているのだと無理に思えば、そう悲観することはない。