日本酒の味

私は、日本酒を飲んで美味しいと感じたことがない。お金をけちって、真に美味しい酒に出会ったことがないせいかもしれない。テレビのコマーシャルなどで、心から旨そうに飲んでいる姿を視ると不思議で仕方ない。
中学時代から親しかった友人Iは、アル中に近いと思われる位の酒好きで、安くて旨い酒を求めた一生だったようだ。酒の上では、両極の二人だったが、何故か妙に気があって社会に出てからも、ずーっと付き合ってきた。20年ほど前に一緒にゴルフをした帰りに、彼の家に立ち寄って夕食を共にした時、『「二級酒」の方が「特級酒」よりも旨い』としみじみと語っていた。この言葉が、何故か耳を離れない。
当時は、特級酒、一級酒、二級酒の級分けが普通だったが、現在は、そういう区別はなくなったようだ。

近頃、時たま友人との付き合いで行く飲み屋では、銘柄選びに迷う。その時に参考になりそうなので、「週刊ポスト:4.20、4.27」の「メタルカラーの時代」に出ていた記事を次にメモ書きする。


1.日本酒(清酒)銘柄表示について:
普通酒:紙パックなどでも売られている。原料の米をあまり磨いておらず、醸造アルコールを多く使っている。
純米酒:原料に米だけを使い醸造アルコールを加えない。
原料米の削り具合により、「純米酒」、「純米吟醸酒」、「純米大吟醸酒」のランクに分かれる。
「純米」と表示されていなければ、醸造アルコールを加えた酒。
吟醸」は低温で長時間かけた醸造という意味。
国税庁清酒の製法品質表示基準」に、より詳しい説明があるそうだ。
吟醸」と「大吟醸」の差は、精米歩合による。米の表面にはタンパクや脂肪が多く、そのまま使うと苦味や雑味が出る。おいしい酒造りのために表面を磨きに磨く。

2.ミネラル分が酒造りにどう影響するか?
ミネラル(主にカルシウムとマグネシウム)分が多い(硬水)と、酵母菌の活動が活発になる。そのため原料の糖分を最後までアルコールに変えるので、辛口になる。
ミネラル分が少ない軟水を使うと、糖分が若干残り、さまざまの成分も残るので、甘口になる。

3.酒造りに冬場がよいと云われた理由は?
100℃の蒸気で蒸したお米を、麹室に入れるときには30〜40℃。仕込みに使うときは10℃にしないといけない。米の粒の温度を芯まで下げるのは大変なことで、昔は冬の明け方、一日で最も気温が低くなる時間の冷たい外気を蔵に取り込んで、一気に冷やしていた。今は冷却装置や製氷機で作った氷で冷やしている。そして全工程が厳密に温度管理されるようになった。それでも、年毎の気候や米の品質の違いなどによって酒の味は変る。


一昨日、昨日、今日と冬に戻ったように寒い。こういう日にはお酒を飲んで体を芯から温めたいと思う。だが、一昨年に胃カメラを呑んだときに、逆流性食道炎と云われて、その状態の写真を見せられて恐ろしくなった。以来実質的に断酒しているので、酒では温められない。