生命の誕生

朝、少し強い風と共に少雨が降る。今日は一日中駄目かなと思ったが、低気圧が通過したのだろう。間もなく晴れてきて、好天気となった。それでT医院へ行き、何時もと同じ、胃薬などの薬を貰う。
帰宅途中、あるお宅の庭の見事な杏みたいな花木に見惚れていた。偶々この家の奥さんが出てこられたので、「きれいな花ですね!」と誉め言葉で挨拶をしてから、花の名前を聞いたら枝垂れ源平梅だといわれる。許しをえて写真を撮った。

今日は、ここから見える鎌倉山の一部が薄紅色になるほど、桜がほぼ満開になったようである。


話は、全く飛ぶが、「週刊ポスト:4.6」の“メタルカラーの時代”に、山根一真氏と海洋研究開発機構の高井 研氏の対談が載っていた。
山根氏は「しんかい6500」の潜航取材をしたという。対談内容を記述的に要約すると、以下のようになる。

水船の目的地は石垣島の北50km、深度1500mの「鳩間海丘」。ここには、地球上に生命が誕生した謎を解くカギが埋まっているという。ここから323℃の熱水が噴出している。そして無茶苦茶な数の生物(ゴエモンコシオレエビなどの)が住んでいる。これらは、沢山いる好熱性の微生物を食べている。
この微生物(バクテリア)は1ミクロンほどの大きさで、地中から吹き出してくる熱水に含まれる硫化水素を主に餌にしている。硫化水素を酸化してエネルギーを得ている。ゴエモンコシオレエビは、腹側の毛の部分に微生物を棲みつかせ、それを食べている。これらの超高熱性微生物が持っているタンパク質は、ロウのようにかなり硬くて、高温でないと軟らかくならない。
最初のタンパク質ができたのは、そういう環境のようである。我々が肉を胃腸で消化するときの消化酵素は、我々の体温、37℃で最もよく働くようにできている。だが、深海の熱水噴出孔周辺に棲息している微生物は、例えば110℃で最もよく働く酵素を使ってくらしている。

生命が誕生した当初の、およそ40億年前の地球は、そういう高温の環境だった。しかし次第に地球が冷えていくにしたがって、微生物も低温環境に適応していった。高温環境で生れたタンパク質は、時代を経るにしたがってバリエーションが広がって、生物は多くの機能を備えることができるようになった。

今の我々にまで続く生命の誕生はたった1回だけ。それが40億年前の「超好熱性微生物とその子孫」のそうである。



私たちの学生の頃は、地質学と生物学は全くといってよいほど関連がなかった(化石や石炭を除いて)。どちらも暗記するだけの面白くない学問だった。それが、今では融合して地球生物学のような面白い学問になっている。分子生物学(DNA理論)や、大陸移動説、プレートテクトニックスも、卒業した後に発見されたものであって、物理学や化学の理論が適用される面白い学問となった。その代わり、今の学生は学ぶことが格段に増えた。工学部の学生の多くが大学院で学ばなければ、社会で通用し難くなったといわれる理由もよく分かる。