小説:旅愁

春の初めの明るい日差しの中を、ローソンへ「週刊ポスト:4.6」他食料品を買いに行く。ついでにバス停まで足を伸ばして、写真の花桃を写した場所を確認した。どこで撮ったか忘れていた。


昨日BSーフジから録画したアメリカ青春映画「チアーズ」を視て、アメリカの高校生のダイナミックな迫力に若さを貰ったというか、圧倒された。白人の女の子からなる可愛い応援団をチアガールズと思っていたが、アメリカでは、差別化廃止が進んだせいか、今では所謂“チアガールズ”の中に男の子が少数ながら混じっているのに、時代の変化を感じた。勿論黒人も一緒になって踊っている。ひたすら演舞での優勝のために頑張っている。彼らに大学受験の暗い陰が全くみられない。勿論映画の上でのことだろうが。大学受験の仕組みが日本と違うせいもあるだろう。


話は全く飛ぶが、横光利一の「旅愁」という小説が、私の大好きな小説の中の一つである。昭和12年に毎日新聞に連載を始めたが、戦争で中断しながら、昭和18年まで書き継がれたそうだ。戦後間もない昭和22年に作者の死去によって未完の大作となってしまったと惜しまれている。この小説のために横光は、戦後に戦争協力者といわれ、川端康成と運命を異にしたらしい。


若い歴史研究者の矢代と良家の令嬢千鶴子は、ヨーロッパ行きの船中で知り合い、パリー滞在中に次第に惹かれあうが、誠実な矢代は当時の婚姻制度を意識して、無邪気な千鶴子のそれとない誘いにもかかわらず、一線を超えることなく帰国する。この超えられない我慢のシーンが面白い。簡単にいうと、帰国後を含めてのロマンスを縦糸とすると、西欧合理主義に対比して日本精神主義の優れた点の探求が横糸になって、思索的な(今日では幼稚かもしれないが、当時は真剣だったようだ:八紘一宇の指導原理の追求だったようなものだから)、日本では珍しい大河ロマンとなっている。


この小説を書くきっかけとなったのが、昭和11年の約半年にわたる作者のヨーロッパ旅行といわれている。この旅行記が、最近「欧州紀行」というタイトルで発刊されたと読んだので、先日Amazonにオーダした。両者を比較すれば、この小説の理解がより深まるだろうと考えて。

この本が、昨日着いた。早速読んだ。詳しくは明日書き込む予定である。