定刻発車の謎

午後風と雨の中を一寸屋外に出たら、目が痛くなった。花粉がまだ沢山飛んでいるのだろう。


定刻発車:三戸裕子〜日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?〜」(新潮文庫:平成17年発行)を10日がかりでやっと読み終えた。というか、最後の方は飛ばし読みした。

日本で、一列車あたりの遅れはJR東日本で(1999年度)、新幹線が平均0.3分、在来線で平均1.0分。年によって若干の揺れはあるが、ここ十数年は毎年、一列車あたりの遅れは平均一分以下で収まっている。
イギリス、フランス、イタリアでも、だいたい90%前後の定時運転率があがっているそうだ。ところが日本の統計では、一分以上送れた列車はすべて「遅れ」として数えられるのに対して、外国の統計では、10分や15分の遅れは、「遅れ」とは見なされないという。

「日本の鉄道はなぜ正確か?」の謎に本書は迫っている。はじめは、この謎解きが面白そうなので、読み始めたが、著者が数理経済学者のそうで、説明が固くるしく、進化論の論文を読んでいるようで、頭が疲れるので、ぼちぼちと読んだわけである。「iモード事件」のように、一気に読み込むほど面白い本ではない。

日本の社会には、江戸時代から世界でも珍しいほどの時間感覚があった上に、大正期以降、日本の鉄道人は、需要の急激な伸びを受けて、いつも乗客を「捌く」鉄道をつくらなければならなくなったことが、“正確”な理由のポイントのようである。それに加えるに、このニーズに答える技術の素地があって、この技術を磨いた。というのが要約すれば、謎の解のようである。


今、台湾や中国への新幹線輸出で欧州勢との競合が話題になっているが、超過密運転を安全に確保している日本の新幹線が何故苦戦するのか、技術や価格以外に政治が絡んでいるのだろうか、理由がよく分からない。韓国の場合は、政治問題で敗退というか、初めから日本は対象にならなかたようだが。