iモード事件

のどかな春日和。ローソンへ行って、昼飯用に木村屋のあんぱんを買う。こういう昔タイプの単純な食品が私の口に合う。最近の色々の余計のものを付け加えた食品は,それなりに創意を加えたのであろうが、私のような老人には向かない。



昨日買った「iモード事件:松永真理」(平成13年発行)を読み始めたら、面白くて止められない。事実はドラマより奇なりというか、マッキンゼー秀才軍団を敵役に仕立てての、語り口が旨い。新しいタイプの携帯電話の開発過程をこれだけ面白く読ませる作者の力量に感服した。最後まで一気に読んでしまった。著者は3年契約でリクルートの編集長からNTTドコモに移籍した。新型ケイタイを開発するためである。移籍の態様も米国式で、報酬も含めて担当部長に一任され、人事部は介入しなかったという。
女性でこれだけの業績を挙げた松永さんは文学部出身、また「ローマ人の物語」の著者で有名な塩野七生さんも文学部(哲学科)出身、文学部では幅広い教養を得られるので、社会に出てからの活動できる分野が広いと思われる。文学部出身者は磨けば玉となるのでなかろうか。


実は、私は大体家の中にいるので、ケイタイを必要としない。従ってケイタイを持たないし、使うことに興味もない。iモードという言葉を聞いたことはあるが、その正確な意味を知らない。ネットで調べたら、インターネット(internet)のできるケイタイであって、iはその頭文字から取ったらしい。数百、数十の候補のなかからこの名前が閃いたという。

NTTドコモによるiモード・ケイタイの発売は、1999年の初頭だったが、直ぐにIDOなどとの激しい競争に曝されたそうだ。この分野での技術革新は早い、今はiモードでなく、FOMAが主流となっているそうだ。


読後に感じたのだが、火付け役はマッキンゼーであって、NTT以外のケイタイ大手にも同様な提案をして、開発に協力したのでなかろうか。それで、ドコモの社長が大幅な権限を担当部長に与えて開発を促進させたのでなかろうか。それで各社がほぼ同時に、似たような新型ケイタイを発表したのでなかろうか。同様なことが、他の事業分野でも起こっていた、いや、起こっているのでなかろうか。


それにしても、ケイタイのような小型、軽量なものは、日本のお家芸といわれてきたが、今フィンランドノキアに世界シェアで大きく水を開けられているのは残念である。今の所。経常収支が大幅な黒字だからよいが。フィンランドの教育水準は世界一だといわれている。やはり教育が大切なのだろう。