喫煙有害論


時々会って馬鹿話しをする友人の中に、煙草を吸わないのに、喫煙無害論を唱えるMという偏屈な男がいる。彼は暇のときは、図書館へ行って本を読むというから、それなりに根拠をもっているのであろう。


昨日買った「医者のホンネ(新潮文庫:平成7年発行)」を読んだら、Mが喜びそうなことが書いてあった。ひょっとしたら、Mはこの本に毒されているのかもしれない。著者柴田二郎氏は、敗戦で陸軍士官学校を放り出され、医専を出たのち、アメリカで学び、帰国後山口大学医学部教授になり、本の発行時は退官して開業医をしているという。歯切れのよい文章で勝手なことを言っているが、その中に「喫煙有害論のでたらめ」という無責任な章がある。

馬鹿馬鹿しいその根拠をざーっと紹介すると、以下のようである。
もともと厚生省とか公衆衛生学者などは勿論のこと、医学、医療も伝染病の消失と共に消失すべき運命にあったものであり、極言すれば、先進諸国では医療は社会的使命を終えつつある。それでは医者として失業して食うに困るから、疫学的研究がまかり通るようになってきた。
ここで文句をつけておきたいのは例の喫煙有害論、喫煙発癌説である。この説の一番の欠陥は喫煙しないのに癌になる人がいる点であり、二番目の欠陥は人も恐れるヘビースモーカーが80歳、90歳でも存在することである。即ち喫煙すれば必ず癌になり、禁煙すると必ずならないというわけではないということである。苦しまぎれに受動喫煙などを持ち出して来るが説得力はない。




>反論のために、平山雄氏の喫煙有害に関する疫学的調査結果を以下に引用した。
非喫煙者(1.0)と比較した喫煙者の死亡確率(男性)】
くも膜下出血 1.8倍 口腔・咽頭がん 3.0倍
喉頭がん 32.5倍 食道がん 2.2.倍
虚血性心疾患 1.7倍 肺気腫など 2.2倍
肝臓がん 3.1倍 胃がん 1.4倍
胃潰瘍 1.9倍 膀胱がん 1.6倍
膵臓がん 1.6倍 肺がん 4.5倍
子宮がん(女性) 1.6倍

参照:平山雄「病態生理7(9)、695-705、19988」

http://www3.kyukyo-u.ac.jp/K0003/daigakuseini.html