角膜移植に替わる細胞シート再生医療

先日(11月29日)、目の痒みが中々治らないので、眼科へ行ったら、アレルギー性のものだと言われた。その際の検査で黒目に少し疵があるといって、ドライアイ用にとヒアレイン点眼薬を処方された。疵は大した事ないと思うのだが、云われてみれば、多少気になる。そんな気分で、「週刊ポスト12.8号」を何気なく捲っていたら、以下のような、『角膜移植に替わる細胞シート再生医療』という記事が目についた。



角膜は黒目の部分を覆っている透明の膜である。これが薬の副作用や細菌感染などによって、損傷されると最悪の場合は失明する。治療には角膜移植しかない。これが中々受けられない。だが、東京女子医科大学・先端生命医科学研究所長の岡野光夫教授によると、最近開発された細胞シート治療で、角膜上皮あるいは内皮を、次のようにして治療できるそうだ。
患者の親族の黒目と白目の間から1〜2ミリの幹細胞を採取し、2週間培養皿で培養する。37℃では表面は弱い疎水性のため、細胞が増殖しシート状にすることができる。温度を20℃まで下げると培養皿の表面が構造変化を起こし親水性となり、培養皿から細胞がはがれるためシート状のまま細胞を剥離できる。角膜の直径に合わせ12ミリの穴があいているドーナツ状の支持膜を細胞シートに載せて、一緒に剥がしたあと、患者の角膜を外科的に手術してこれを表面に移植する。細胞同士を繋ぐ接着成分が残っていりため、角膜に載せたあと糸で縫う必要はない。支持膜をはずしたら手術は終了する。

現在では、患者本人の口から口腔粘膜を取って細胞シートを作り角膜に貼り付ける治療も成功しているそうである。今後は,心筋細胞の培養による心疾患の治療、あるいは歯周病食道がんの治療などに応用できるらしい。