セイコーお家騒動と東條の孫娘

 時計やプリンター,電子辞書などで有名な、セイコーインスツル(SII)の創業家出身の服部純市代表取締役会長兼社長代行(55)が11月16日に開かれた取締役会の緊急動議で解任された。このニュースはマスコミで大きく取り上げられなかったので、知らなかった。「週刊ポスト:12.08」に、この解任劇の裏話が披露されている。

純市氏に寄り添う“美人占い師”S女史が、この解任の原因だったらしい。SIIの幹部が明かす。「S女史のせいで社内ではとんでもないことが起きていた。昨年春頃、S女史の『中国の大連工場は北朝鮮からミサイルが飛んでくるから危険。すぐに移しなさい』という“お告げ”に基づいて、会長がタイへの工場移転を計画した。会長は心酔。社員や役員の声には、一切聞く耳を持たなかった。タイに主力工場を移転、研究開発部門も移し、SIIの海外事業の拠点にしようとした。子会社2社の上場計画も凍結。そんな独断専行に反対した役員や幹部はクビか左遷しようとする。常軌を逸していて“殿、ご乱心か”という声も上がった」

SII社内では、S女史の意見が純市氏の経営方針に大きな影響を与えるあまり、彼女のことを「会長代行」と呼ぶ幹部もいるほどだったという。
SIIは月に2回ほど、幹部会議を開くが、3回に1回はタイやシンガポールなどで行うようになっていた。
S女史はその会議に毎回のように出席、自身満々で発言することもあったという。「ウチの製品は幅広く、経営にはそれなりの専門知識もいる。正直、長く主婦だったSさんにはコンサルタントは難しい。なのに、自分の理解できる範囲で口を出そうとするから、本業と関係ない環境ビジネスを提言したりする。それを純市さんが採用するから会社は大混乱に陥った(別の幹部社員)」

実はS女史は、A級戦犯として刑死した東條英機の孫で、英機の次男東條輝雄氏(三菱自動車工業元社長)の次女なのだ。3〜4年前から、突然様子がおかしくなった。「神様の声が聞こえる」といいだして、その頃から父の所に寄り付かなくなったそうである。靖国問題で大きく祖父が浮かび上がって、宗教に頼らざるを得ないほどに、彼女なりに悩みが深かったのだろう。

それはそれとして、S女史はバンコクに2店舗を持つ日本食レストランの経営に関っているという。自分の生活と経営の拠点にSIIを引き寄せようとしていたのでないかと疑われているようである。何れにしても、SIIの社員にとっては迷惑千番な事件だった。