日中戦争:悪いのは日本だけではない

人口13億人の隣国の中国は、長い歴史を有する大国である。
ところで、中国語で書かれてインターネット上に掲載された、「もしも日本が戦勝国であったなら・・・」という論文が、中国で集中攻撃を加えられ、これをきっかけに中国で言論の取り締まりがにわかに強化され始めたそうである(文芸春秋11月号による)。


内容は、日中戦争の時に中国軍が、黄河の爆破、決壊を始め、長沙における焦土作戦、さらには阿片栽培、民間女性の強姦などで、中国人民に対し日本軍以上に残虐な行為を行ったという身近な歴史からはじまっている。

著者(米国在留)は長い歴史の上で、日本人は中国数千年の歴史上,最も中国文化に近い侵入者であると見ている。文化の脈絡からいえば、日本こそ中華民族に最も融合しやすい。
中国には、かって何度も侵略を受け、占領を許した過去がある。秦朝,元朝清朝、これらは外から来た侵略者が立てた王朝である。さらにいえば、隋朝、唐朝は、外来民族の末裔によって立てられた王朝である。
中国人は恨みを忘れることがうまく、最も寛大な民族である。日本が中国を征服して統一することは、すなわち中国が日本を征服して統一することと全く同じ結果――それは中国がひとつであるというーーーになるからだ。
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歴史にifはないといわれるけれど、勝っていたら、日本は中国の属国になっていたかもしれない。日本が負けてよかったと改めて思う。

それにしても、この記事は歴史を正視し、主として昔の国民軍(蒋介石軍)を非難しているのであって、共産党軍(紅軍)の痛いところには余り触れていないようである。それなのに、何故インターネット上で閲覧できなくなったのか、訳がよく分からない。

今の、共産党政府の正当性を裏づけて国論の統一を図るための、日本敵視政策に合わないからか? 中国は、奥の深い国である。日本人が分からない点が多いようである。

なお日中戦争があったから、共産党は漁夫の利を得て中国の支配者になることができたという説があることを、忘れてはいけない。