医大の裏口入学

昨日買った「怪しいお仕事!」を読み始めた。出だしの『悪徳興信所』は、面白いが、話が出来すぎている。著者に悪いが、どうもフィクションのような気がする。

特に『医大裏口入学斡旋』は、私の経験と合わない。この本によると、「息子を医大に入れたいけどどうにかならないか」という依頼が医者からきた場合、相場は最低でも1千万円。
調査員はその学校でもっとも落としやすそうな教授を調べ、ターゲットを決める。飲み屋から始まって、旅行やゴルフに誘う。こうして本性を隠し、相手が失態を演じるのをじっと待ち続ける。「たまには変わった店に」と誘い、そこで女と裸で遊ぶ場面をしっかり写真に撮ってしまう。そして、ある日写真を見せて「どうすんだ?オイ」と詰め寄る。

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30年ほど前の古い話し。私が勤めていた会社の診療所で昼休み、某私立S医大出身の腕の評判は悪いが、政治力があるという噂の高い社医と雑談していた時、「甥が今度医大を受けたいといっているが、こねが欲しいそうだ」と言ったら、
「S医大の某教授と親しいから話してやってもよい。ただし1千万円はかかるよ」といわれた。親は、早速千葉の方に持っていた土地を売って、1千万円を工面した。

医大の入学試験が終わった後のある日、社医が言った。「『定員が100人なので、120番内に入っていれば何とかなるのだが、甥さんは入っていないので、残念だがどうにもならない』と、教授から言われた」

間もなく、甥は別の私立N医大を受けて、ものの見事に何のこねも無しに合格した。要するに入学試験問題が本人に合っていたか、いなかったか、ということなのだろう。親は、要らなくなった1千万円で都内の自宅近くにマンションの1区分を買った。


特に今のご時勢は、金で医者になれるほど生易しくはない。