老後がこわい

天気図によると、千島列島の東南方に太平洋高気圧が張り出していて、今日も真夏日。異常気象といえようか。
ごく近所の家(元Sさん宅)の取り壊し中で五月蠅い。お互い様だからしかたない。やがて綺麗な新築の家が建つのだろう。


昨日買った「老後がこわい:香山リカ」を拾い読みした。参考になることが多い。以下特に印象に残った点を挙げる。なおリカさんは、今46歳の精神科医で、独身とおみうけされる。従って、本書の内容は、正確には「シングルウーマンの老後がこわい」ということだろう。なお以下で、()内は私のコメントである。

●究極の遺骨問題の解決法
2002年に行われた調査によると、「先祖代々の墓に入りたいか」という質問に女性の37%、男性の20%は「入りたくない」と答えている。入りたくない理由で最も多かったのは「夫婦単位の墓を作りたい」だったが、「墓はいらない」と考える人も男女ともにその四割を占めた。もしかすると今後、「墓はいらない」が主流派となる可能性もある。

最近は、海や山に遺骨をまく散骨や、樹木葬など、「自然葬」も人気がある。そういった流れが「先祖代々の墓」に代わるものとして定着するかどうかも、今のところ「わからない」としか言いようがない。
究極の骨問題の解決法、それは「収骨をしない」ことである。火葬場に遺骨の全部または大部分をおいてくるのだ。これは欧米の火葬ではむしろ一般的な方法である。
(同じような考えの人が、結構多いようなので安心しました。)

●必要な医療を受けられない高齢者
「利用者の自己負担増」を目指す2006年6月14日に成立した医療制度改革関連法などによって、「介護難民」「医療難民」が増えている。
一方では、自由診療を掲げる美容外科アンチエイジングクリニックが林立し、大金を投じて“生き死ににかかわらない医療”を受けようとする人もいる。それで、巣立つ若き医師たちも、こぞって美容外科や皮膚科に進みたがる。反対に、脳神経外科や小児科は大きく減少している。
医療を職業として選択しようとしている若者が「お金が儲かり責任が軽い仕事がいい」と思っている、というのが現状なのだ。
(親が大きな投資をしているのだ、已むをえないと思う。一方、宇沢弘文東大名誉教授が「私の履歴書(平成14年)」に書いている次の一節を思い出す。
「自分の進路に迷いが生じた。ヒポクラテスの本を読み、どうも医師という職業が自分には向いていないのではないかと思い始めたからである。原因は医師になる際に必ず行われる『ヒポクラテスの誓い』だった。人格高潔で患者のためにすべてをささげ、名誉や金銭的なものを求めないというものだが、私には高いハードルだった。医学部進学を断念し、数学科を受験することにした」)


●男性の老後
妻の急逝後、自死した文芸評論家江藤淳氏の著書などを読んで私が驚いたのは彼の家事能力のあまりの低さにであった。江藤氏は「自分で電球も取替えられない」と公言しているが、誰にもおかしいと思われない、というのは不思議な気がする。
男性の場合は「家事がいっさいできないのは、仕事ができるという証拠」という奇妙な価値観が、少なくとも江藤氏が存命中の90年代はまだ生きていたのだ。
(最近でも、田原総一郎氏は、テレビで同じようなことを得意げに?公言していますよ!)



夕方、今年最後の芝刈りをした。