ポスト安倍はまた小泉

6人の有識者(含む政治家)の執筆よりなる、「さらば、小泉純一郎」という送別記事が、文芸春秋10月号に載っている。そのうちの一つ立花隆氏の「ポスト安倍はまた小泉」なる意表をつく記事の要点を、ここに記録に残して、老立花の勘がまだ冴えているかを後年に確認したいと思う。


小泉改革は、年金、社会保障、三位一体、財政、郵政、道路公団改革などの諸改革は、自画自賛が多く、実はほとんど実体がない。
改革に関する問題のすべては破綻状態にある国家財政をどう救うかという問題に帰着し、結局消費税引き上げの問題に帰着せざるを得ないはずなのに、小泉は「私の在任中は消費税引き上げは絶対しません」と早々に、その解決策に封印をしてしまった。
結局小泉在任中に、国の借金は約150兆円も増加した。
ということは、安倍内閣は最初から問題山積内閣ということである。
解決策があるとしても、基本的には、国民負担増か。増税以外にあるはずもない。
正直にそのような解を選んだら、あと10ヶ月後にせまっている参院選で惨敗することが必至である。惨敗の程度によっては、すぐに退陣しなければならなくなる展開も十分考えられる。
そうならなかったとしても、安倍にはいい未来がありそうにない。
安倍ほど政治的に未熟で、経験らしい経験がほとんどない政治家が総理大臣になるのは、戦前の青年宰相といわれた近衛文麿以来でないか。安倍には、人間を鍛え直してくれる強烈な敗北経験がない。そういう人間にしばしばあることだが、安部は逆境に弱い人間なのであるまいか。

私が予測するところでは、そう遠くない次期に安倍は迷走と失敗を重ね、その間に小泉の存在感がいやましに増大してくる日がくるだろう。

そう遠くない時期に、安倍の失敗が積み重なるようだと、小泉首相の再登場待望論が出てくることは、ほとんど確実と思われる。
小泉もそのような再登場を望んでいると思う。』