最終戦争論

昨日とうって変わり、今日は時々雨の曇天、都内では集中豪雨があったとテレビは伝える。

ネットの青空文庫で、太平洋戦争の遠因となった満州事変勃発の張本人といわれる石原莞爾(中将)の「最終戦争論」を読む。

仏教(彼は日蓮宗の熱心な信者)や欧州の戦争の歴史から導きだした彼の結論は要約すれば、次の通りである:

『持久戦争と決戦戦争が交互に起こった。次の戦争は決戦戦争である。この戦争をもって、世界が統一され、国家の対立がなくなり、戦争がなくなる。
そのためには、一発あたると何万人もがペチャンコにやられるところの、私どもには想像もされないような大威力のものができねばならない。』


原子爆弾によって本格的戦争がなくなった今日の世界を予言している彼の鋭い洞察力に感服する。
この本は、太平洋戦争が起こる直前の昭和15年(1940年)に初版が刊行されたとのこと。増補版(昭和17年)を入れると、数十万部も発行され当時のベストセラーになったそうだ。

その頃ヒットラーの「我が闘争」もベストセラーで、それを感心しながら読んだ淡い記憶がある。だが石原の「最終戦争論」は全く気付かなかった、というか、友人の間で話題にもならなかった。軍人をゾル(sol)とよんで馬鹿にしていたか、反撥していた当時の高校生気質のせいかもしれない。
また内容の大部分が戦争史や国体論、東亜連盟、仏教などに関するもので、当時の高校生の関心を惹くものでなかったせいかもしれない。

写真は、峠三吉氏の原爆の悲惨を伝える絵である。流石の石原氏も広島や長崎に原爆が投下されて、敗戦、日本の軍隊が消滅するとの予測はできなかったのでなかろうか。