レバノン杉と十字架


写真は下記URLから借用した。

http://www.newenglishartclub.co.uk/images/frontpage_photos/douglas_sedge_crucifix_fp.jpg

雑談のおり、さる人が「キリストの磔に用いられた十字架はオリーブの木からできている」と得意気に言った。

それを聞いて、「たしかに地中海沿岸にはオリーブが多いが、オリーブの木は、地面から数本の幹に分かれているので、太く高く育つには数十年以上かかるであろう、従って当時でも可なり高価かつ入手困難で、罪人用の十字架にはよう使はなかったのでなかろうか?1つ幹が真っ直ぐに育って、かつ安く入手し易い木を使ったのでなかろうか」と思った。
それで「根拠があるのか?」と尋ねたら、聖書に書いてあるという。
「本当か?」と信じかねて、念のため新約聖書を調べたが、十字架が何の木から作られたかは載っていなかった。
処刑された場所はオリーブ山とのことであるが。その人は、オリーブ山で処刑されたから、十字架は当然オリーブの木で作られたと、早とちりしたのだろう。


その後、このことが何となくひっかかっていた。

今朝の朝日の「経済気象台」というコラムを偶々読んでいたら、「レバノン杉が古代に中近東一帯に広く自生していた。
いまではレバノンのカディーシャ渓谷に世界遺産『アルゼラブ』を残すのみ。」とあった。それで、「やった!!」と膝を打った。
おそらく十字架の材料はこのレバノン杉だったのだろう。

早速ネットで検索した所、


レバノン杉はマツ科の針葉樹で、まっすぐに伸びるこの樹は、高さ40m、幹周り10mにもなる長身でたくましい樹に育つため、大理石建築にはかかせない梁材であり、腐敗や虫に強いという実用性に大変優れた用材だった。

 しかし、レバノン杉にとって悲劇だったのは、生育する地域が最古の文明と言われる、エジプトとメソポタミアに挟まれた土地であったこと。おまけに、もともと森の少ない地方に囲まれていたことである。文明は森を伐り出しながら繁栄したのだ」と、
http://bigtree.maxs.jp/world/lebanon/lebanon.html
にあった。

なお、このコラムの後半には、「ウオール街の投資銀行やファンド運営で活躍する人材にレバノンアメリカ人が傑出していることはつとに知られた事実だ。
1970年代のレバノン内戦で米国に避難した人たちやその2世などだ。古代フェニキヤ商人の血筋がウオール街の商才を生んでいるのだろう」旨、書かれていた」