映画:渇いた太陽
映画「渇いた太陽(1962年)を視た。
フロリダから来た1台のキャデラックが、大西洋岸の南部の町セント・クラウドのホテルに着いた。
運転をして来た若い男と客席の年増女の2人連れである。若者はこの町の出身でチャンス・ウエイン(ポール・ニューマン)、女はかつてのセックスの女王アレグザンドラ・デル・ラーゴ(ジェラルディン・ペイジ)。
若さと美貌のおとろえに絶望した彼女は映画界からの逃避旅行の途中、パームビーチで海浜ボーイをしていたチャンスを付け人として雇ったのだ。放浪の途中、チャンスがこの町にやって来たのには理由があった。
ここには彼の初恋の女性ヘブンリー(シャーリー・ナイト)がいるのだ。
彼女の父フィンレイ氏は町の有力者で、名声を重んずる氏は、ホテルのボーイだったチャンスを町から追い払ったのだ。
ニューヨークに出たチャンスは、ブロードウェイでタレントとして騒がれこの町までも知れわたる人気者になったが、それも朝鮮戦争でオジャン、彼が復員したときには誰も見向きもしなかった。
町の人々の冷たい仕打ちをうけた彼は、かつての人気をとりもどそうと再び夢を追って都会に出た。
だが2度と機会は来なかった。そして今度、アレグザンドラに望みをたくしこの町に姿を現したのだ。
町ではフィンレイが州知事選挙に立候補し、大変な騒ぎだった。
娘の純潔を売りものにするようなフィンレイ氏にとって、チャンスの帰郷は邪魔だった。フィンレイ家の監視の眼を盗んでようやくヘブンリーに逢えた彼は、今度こそアレグザンドラを利用して成功出来ると説明し一緒に町を出ようと頼むのだった。
だが、父がチャンスに何をするか知れないと恐れたヘブンリーは、ただ逃げるようにと言うだけだった。
その夜、チャンスには意外な出来事が持ち上がった。アレグザンドラのカムバック作品が、期待に反して大入りをつづけているとの報せがあったのだ。
自信がついた彼女は、チャンスを振り捨ててさっそくこの町を去って行った。
チャンスの成功への夢はこれで完全に断ち切られたが、今の彼には不思議なほど未練がなかった。
ただヘブンリーとのささやかな生活を願うチャンスは、彼女の家を訪れた。だが、彼女の兄につかまったチャンスはステッキで顔を叩き割られた。
倒れたチャンスを抱き起こすヘブンリー。やがて2人の乗り込んだ車は、怒るフィンレイ氏をしり眼に走り去るのだった。