むーろん会便り

次女が「むーろん会便り」という、義父から借りた同窓会連絡パンフレットをコピーしたものを送ってきた。九州帝国大学工学部の○○科を昭和19年に卒業した仲間の連絡文集のようである。私より1〜2才年長の世代なので、親しみの感を抱いて読んだ。
“むーろん”という名は、日米戦争が緊迫してきて、卒業論文なしで(無論で)、大学から軍隊へ駈り出された年次のことをいうのだそうである。まともな勉強や研究ができなかった‘恨み’が込められているようである。

読んでみると、この年齢になると、心身共に個人差が大きいのに、改めて感銘した。
世話役らしいN氏は、週4回のテニス練習を続けている。週一回パソコン教室に通って、画像をパソコンに取り込んで、好きな音楽を挿入してPhotostoryを作成する。そのための写真収集に、奥さんと一緒に?北海道の知床半島を歩いて、狸、熊、鹿に度々出遭ったそうだ。その際の感想を和歌にしている。超人的に充実した余生を送っておられるようである。

一方Sさんは、昨年の6月までは、元気で東京、仙台、松江、松本などでの、寮歌祭にも参加して、マアマアだったが、7月に体調を崩して入院、今は介護ホームに入ることを考えているという。この年齢になると何時体調が急変してもおかしくないと、改めて教えられた。油断大敵。

Aさんは、最近聴力が落ちたので耳鼻科で検査した所、KA行、SA行、TA行言語の識別認知能力が低下していることが判明。その処方箋に基づいて使用中の補聴器は、音域を多くのチャンネルに分割、個別に増幅度を変えて、聴力曲線をキメ細かく補正できるもので、使い勝手がとても良いという。こんな優れた補聴器があるとは、知らなかった。聴力が落ちたときの参考にしよう。

義父のOさんは、介護老人保健施設で、理想的な規則正しい介護生活を送っておられるという。入居者は男性15人、女性49人で、女性が圧倒的に多い。80代後半から90代がざらのそうである。

Kさんは、昨年は白線時代の余韻を求めて岡山寮歌祭、横浜寮歌祭、九州寮歌祭に参加し、気持ちだけは青春のまっただ中の白線老人パワーに溢れている。

その他未亡人を含めて、数人の方の投稿がみられた。

このパンフレットで寮歌祭について読むとは思いもよらなかった。
老いても、寮歌で青春を謳歌できる人達が羨ましい。



なお卒論も書かないで卒業した世代の大学生が、戦後の日本の技術をリードして今日の物作り大国日本を築いたということは、過去の日本の大学の専門教育が如何に無意味かを示している。語学力と基礎物理学、化学(旧制高校で学んだ)が身についていれば、20世紀の技術は乗り越えられた。今後はそう簡単にはいかないであろう。