FSXを撃て

昨日と違って雨の降りそうな寒い曇り空。一日中家に閉じこもって読書などする。塗装屋さんが、塗らない箇所にビニールを張る作業を家の周りで、朝からしているので、落ち着かない。

手嶋龍一著:「たそがれゆく日米同盟:日本FSXを撃て」を読み終わる。1991年に初版が刊行された本なので、内容は古い。だが、アメリカは大統領が変わると、前政権の国際公約がひっくり返されるという、信頼できない厄介な国である証例としての、有名な出来事を詳述しているので興味深く読めた。レーガン大統領の任期が終わる直前に合意されたFSX(次期支援戦闘機)日米共同開発計画が、ブッシュ(父)が大統領になってからアメリカに有利になるようにひっくり返された事件の真相にほぼ即時的に迫っている。小説的に面白く描写されている。背景には、今では信じられないような深刻な日米貿易摩擦があった。同時にハイテク分野での日本脅威論が盛んだった。

現在も、日本は米国に対して大幅な貿易黒字国であるが、中国に黒字額を凌駕されて、黒字国が分散されてしまった。流石の米国も中国に対しては、露骨に文句を言えない。そこで摩擦の構造が変わってしまい、今は摩擦の声は全くというほど聞こえない。また、永い間の不況で病み衰えた日本に対する警戒心も薄らいだ。