小説:金融腐食列島

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高杉良著「金融腐食列島(1997年発行)」、「再生 続金融腐食列島(200年発行)」、「混沌 新金融腐食列島(2004年発行)」のシリーズ物を、面白く夢中になって数日かけてやっと読み終わる。

バブルが弾け、“失われた10年“といわれた90年代の巨大銀行(旧三和銀行?)の内幕を描いたドキュメンタル風の大河小説である。全部で単行本、文庫本を含め6冊におよぶ大著なので、内容を荒筋に纏めるのは、老いぼれの私の手におえない。それで以下、ウイキペディアの記事を借用させてもらった。



舞台は大手都市銀行・協立銀行、主人公は虎ノ門支店副支店長の中堅銀行マン・竹中治夫。協立銀行内では依然として強い影響力を持ち、人事権を掌握する会長が君臨している。公私混同のワンマン会長は、娘の不倫スキャンダル隠しを画策し、銀行内外の人脈を利用し不審者の洗い出しを指示した。そんな1993年のある日突然、竹中は総務部主任調査役の辞令を受ける。「渉外班」と通称されるその実態は、総会屋対策のポストだった。
竹中はスキャンダル隠しに加担させられ、組織の前に心ならずも不正融資に手を貸してしまう。緊急株主総会に向け、会長秘書役や元大物総会屋、「企業舎弟じみた人物」との交渉に奔走する。その後渉外班の任を解かれた竹中治夫だったが、続いて営業本部プロジェクト推進部に異動となる。こちらは大口の不良債権処理の担当。その回収に乗り出して右翼や暴力団から標的にされた竹中は、家族までも狙われ、辛い闘いを強いられる。
―――
1999年。竹中治夫は、営業本部プロジェクト推進室で「住管機構」対策に能っていた。住管機構、正式名・住宅金融債権管理機構は、住宅金融専門会社住専)の相次ぐ破綻の受皿として設立され、その負債について母体行の責任を追及していた。竹中は特命班の長として、責任追及を恐れる頭取から住管機構との対決を迫られる。しかし協立銀行では内部が頭取派・相談役派の2つの派閥に分かれ争っていた。個人的な事情から住管工作の阻止を目論む相談役派の動きに翻弄され、妻や息子との不仲もあり、竹中は苦しむ。
やがて竹中は大阪・梅田駅前支店長に転出し、過酷な資金回収、所謂「貸し剥がし」を任された。優良貸出先からも強引に融資を引き上げる銀行の非情な論理を痛感する。その後再び本店に戻り、広報部長に就くが、次期頭取を巡る人事抗争が激化し、竹中も巻き込まれていく。
―――
時は1999年、日本の金融業界に衝撃が走る。朝日中央・芙蓉・日本産業の3銀行統合による「にっぽんグループ」発足が明らかになり、続いて住之江銀行とさつき銀行が合併合意し「四井住之江銀行」の誕生が決定した。上位都銀がにっぽん、四井住之江、東都光陵のメガバンクに再編されるなか、内部の人事抗争に明け暮れる協立銀行は取り残されていた。
かつてのトップバンクの地位が揺らぎ、焦りを感じる協立は、既にまとまりかけていた東亜銀行・あけぼの銀行ら中位都銀2行の合併構想に割り込む。それぞれの銀行の思惑が絡む中、広報部長である竹中は統合計画をまとめるために奔走する。