爆笑問題×東大

東京大学の1,2年生は駒場教養学部に入って、教養課程の教育を受ける。
この制度は戦後、旧制高等学校の長所を新しい学制に残すため当時の矢内原東大学長が考えた苦心の作らしい。

旧制高校は、専門教育を受けるに必要な語学、各種教養科目(歴史、地学、数学、物理、化学など)を学ぶと共に、「人生とは何ぞや」などと、倫理、哲学、宗教などの問題を自ら思考するモラトリアム期間だった。小生も旧制高校時代(戦時中)は、快楽主義と禁欲主義の何れをとるべきか等と馬鹿なことで悩んだものだ。

今は両者をアオフヘーベン(止揚)して、努力(禁欲)の末に仕合わせ(快楽)有りと考えるようになっている。

しかし時代は大きく変わり、こんな馬鹿げたことで悩む若者は絶無である。今は快楽主義が当然のものとなっている。現在の小生もその一人である。


進振り制度のため、モラトリアムの余裕のない駒場の東大生の中には、中途半端な状態を脱して早く専門の勉強をしたいという思う者がぼつぼつ出てきたようだ(駒場東大生のブログに散見する)。


大学側もその辺の学生の空気を察したのか、この春駒場キャンパスで、新入生歓迎シンポジウム「現代の教養とは何か?」いうテーマで新入生歓迎シンポジウムを行なった。招かれたパネラーは爆笑問題の2人。



その模様がNHKの教育チャンネルで去る7月8日の夜に放映された。こういう為になり、かつ面白い放送をすると、NHKの株が上がる。
所謂教養は学校で教えられるものでなく、自ら磨くものであることを大田光は身をもって示した。

シンポジウム後の東大生の反応が面白い。
会場を出た所で、記者に感想を訊かれた某東大生は、「言っていることは楽しそうと思う。これから分析しなけりやいけないと思う」と答えていた。要するに楽しければよいのだ。快楽主義の時代に流されている若者の率直な発言と受け止めたい。


また、ブログ「東京大学理科三類ズバット!東大な日々http://blogs.inter-edu.com/todai.php」では、7月8日の記事に
爆笑問題×東大
と言う番組を見ました。

 この講演、本当は生で出席したかったのですが、部活の練習と重なって見に行けなかったのでテレビで放送してくれてとても嬉しかったです。
 それにしても、太田光って面白いですねぇ。僕は個人的に結構好きです。
 で、太田光の主張の中に、

 (1)学問って、一般人のレベルからかけ離れちゃってない?
 (2)例えば立花隆みたいに、わかりやすく説明しようと努力する人がもっといて良いんじゃない?
 (3)授業ってテレビと同じで、やっぱ面白くなるように、教える側が考えなきゃいけないんじゃない(後略)」
とあった。

現役の東大生だけあって、よくポイントを押さえている。 同感である。

ここにも一種の快楽主義がみられる。


今回の企画は、教養(culture, Bildung)を主として知の側面から論じたが、人間形成(モラルやクリエイチブなど)の面から討議した企画があって欲しいと思う。しかし今の社会風潮では、実現は至難であろう。